2018年度若手研究者研究力強化型「国際的研究活動」

【前期】

採択研究者 長谷川 唯(生存学研究センター客員研究員)
研究内容 本調査は、精神障害者の社会運動が開発のスキームを活用しながら主張を正当化していく過程についてインドネシア精神保健連盟による社会的ケア施設解体運動から明らかにすることを目的とする。本調査は、今年8月にインドネシアにおいて開催される精神障害者の国際会議への出席を通じて観察と聴き取りをおこなう。調査結果は、今後の障害と開発及び国際協力のあり方についての展望を示し、学術界に限らず広く発信していきたい。

後期

採択研究者 高雅郁(KAO, Ya Yu)(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
研究内容 2008年から台湾の知的障害者本人活動全国ネットワークが開始して、そのころから知的障害者当事者運動は徐々に注目されてきた。2017年そのメンバーらが「障害者権利条約」の繁体中文のわかりやすいバージョンを作った。そして、本人の会全国連合会を作る発想もあった。今回渡航は台湾の知的障害者本人と保護者・支援者13人にインタビューする予定で、本人が本人活動(自我倡導)に参加の経緯と参加前後の変化について焦点に調査を行う。
採択研究者 シン・ジュヒョン(SHIN, Juhyung)(立命館大学大学院先端総合学術研究科共生領域)
研究内容 本調査では、韓国におけるシリアスゲーム文化の分析を通して、シリアスゲームの活用が社会問題に対する人々の意識改革に寄与することを明らかにする。申請者は、2019年1月中から2月中までに大韓民国ソウル特別市域に渡航し、ゲーム開発者と代案学校教員へのインタビュー調査、代案学校での参与観察を行なう。シリアスゲームは、娯楽を目的としない、具体的には、医療、学校教育、軍事の分野において、それぞれの分野の教育を目的に活用されることを目的とするゲームである。シリアスゲームは、その形態からデジタルゲームとアナログゲームに分類できる。近年、デジタルシリアスゲームに関する研究が蓄積されている。韓国ではアナログシリアスゲームが社会問題の教育に用いられている。
採択研究者 欧陽 珊珊(OUYANG, Shanshan)(立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
研究内容 本研究活動は、台湾における障害を持つ性的少数者に関する調査である。当事者の生活史から、障害者であり、性的少数者であり、マージナルマンとしての自己認識、居場所を尋ねることから社会運動への参加までの経緯を分析したうえ、ダブルマイノリティとしてアイデンティティの変容、生活の「しんどさ」と社会運動における役割を考察する。そのため、台北市にあるLGBTの障害者団体で、複数の当事者にインタビュー調査を行う。
採択研究者 番匠 健一(生存学研究センター客員研究員)
研究内容 2018年9月13日、14日に韓国ソウル大学・湖岩教授会館(HOAM Faculty Hause)で開催された日中韓農業史学会での学会発表および研究交流、日韓農業史学会員による群山での共同野外調査にともなう経費の補助を申請する。
採択研究者 今里 基(立命館大学大学院 先端総合学術研究科)
研究内容 本研究では、韓国にルーツを持つ若者(主な対象はダブルも含めたニューカマー2世)がルーツである韓国に「母国留学」を行うことによって、同じルーツを持ちながらもバックグラウンドが違うオールドカマーとどのような差異や共通点が見られるのかを明らかにする。主な調査方法としては、ソウルを中心に現地の大学に通う当事者へのインタビューや日韓交流団体、語学学校での参与観察などを予定している。
採択研究者 野島 晃子(立命館大学大学院先端総合学術研究科共生領域)
研究内容 これまでデータ収集活動に米国・アリゾナ大学栄養科学部に協力をいただいてきた。新たに研究協力先となる同大学の老年学研究センター教職員との面談、大学が提供する高齢者の居住コミュニティ向け学習講座運営機関および大学が関与しないコミュニティ向け学習講座運営団体への訪問と面談を目的とし渡航する。生存学のテーマである「障老病異」におけるコミュニケーションに関わる同能力育成は今後ますます重要となりうる分野である。今回の渡航ではとくに「老」と「異」にかんして、高齢者における大学主催の協同学習と若者との世代間交流の位置づけを探る。そして、本渡航がそれらの取り組みの先進国であるアメリカにおける研究・実践現場とのネットワークの構築のみならず、異なる学術分野へのネットワーク構築に寄与するものであり助成を申請したい。
採択研究者 三輪 佳子(立命館大学大学院 先端総合学術研究科 一貫制博士課程)
研究内容 2015年、2016年に引き続き、中国北京市中心部に残る低所得層向け集合住宅地域を中心に、中国における低所得層の生活環境の変化を把握する。
調査内容の重点は、下記の2点とする。

  1. 2015年に、2017年以後の取り壊しおよび住民の立ち退きが予定されていた地域において、2016年には取り壊し計画がいったん撤回され、違法建築部分のみの取り壊しと違法居住者の排除、およびジェントリフィケーションへと路線変更がなされていた。その後の計画進行と現状について、現地で居住者および周辺の人々から聞き取りを行う。
  2. 1と同じ地域において、2016年には若年の地方出身者、および高齢の北京出身者の比率が高かった。深刻な少子高齢化が進行する中国において、同地域の人口構成および現状と背景を、居住者および周辺の人々から聞き取る。

なお、可能であれば、2015年および2016年に聞き取りを行なった人々(延べ約30名)に対し、さらに詳細な経歴および生活の変化を聞き取る。