アクセシビリティ・プロジェクト

プロジェクト趣旨

アクセシビリティが保障されるとはどういうことか。行きたいところへ自由にいける、利用したいサービスを受けることができる。こうしたアクセスする権利は誰もが持っているとされるが、果たしてその権利は誰もが行使しているものだろうか。アクセスの自由が確保されているとは言い難い状況が社会にはある。
アクセシビリティといっても、その問題は多様である。たとえば移動アクセシビリティにかかわる車いすひとつをとっても、障害を持つに至った経緯や種別が異なれば、移動ツールも異なり、生活・居住環境も異なる。情報アクセシビリティについても、視覚障害か聴覚障害か、また別の障害の種別によって必要なサービスや求めるものは変わってくる。こうした多様な当事者の実態を明らかにするために、当事者が主体的にアクセシビリティの課題に取り組み、実態と改善点を示すことが重要である。このことは、困難に直面した当事者の問題解決を志向しながら、障害者や高齢者を取り巻く社会制度や社会の在り方を再考することでもある。
現在、SDGsは国際的に取り組まれている喫緊の課題であり、立命館大学でもSDGs実現のための挑戦が始まっている。学園ビジョンR2030に向けたダイバーシティ&インクルージョンも推進されている。バリアフリーについては、オリンピック・パラリンピックに向け2020 年にバリアフリー法の一部が改正された。2025年には大阪万博も控えている。単に物理的障壁をなくすということのみならず、実現すべきダイバーシティ社会の構想が必要となる。

アクセシビリティ・プロジェクトでは、参加している各障害当事者の主たる研究活動や日常生活の機会をとらえ、車いす(電動車いすやハンドル形電動車いすを含む)使用者のバス、タクシー、電車、飛行機等、種々の公共交通機関におけるアクセシビリティの実態調査・国際調査(単独・共同)、さらに情報アクセシビリティの情報共有を行っている。また、アクセシビリティの確保のためにWHILLやミライロをはじめとする事業者との連携を準備している。

本プロジェクトでは、今後さらに広く射程をひろげ、「キャンパスは街の縮図」であるという視点から、大学キャンパスで移動に困難を抱える様々な当事者の研究活動に必要なユニバーサル・デザインにも焦点をあてて調査をすすめる。これらの調査研究の蓄積は、障害の有無、日常生活と研究活動、研究者と一般市民という枠を越えて、移動をめぐる物理的・心理的・社会的困難を可視化しその解決のありようを検討するものとなろう。
これをふまえ、本プロジェクトは、当事者だけでなくNPO法人や企業などの事業者、行政を含めた、当事者と産官学民が連携する情報共有と、問題解決に向けたプラットフォーム作りをめざしている。

今後のイベント

これまでの活動

過去のイベント

アーカイブ

メンバー一覧

代表者

大谷いづみ(産業社会学部・教授/生存学研究所副所長)

プロジェクトマネージャー

川端美季(立命館大学衣笠総合研究機構・特別招聘准教授)

学内教員

姫野友紀子(立命館大学生命科学部・助教)

専門研究員・研究員

坂井めぐみ(日本学術振興会・特別研究員RPD)
シン・ジュヒョン(立命館大学衣笠総合研究機構・専門研究員)
中村雅也(立命館大学衣笠総合研究機構・専門研究員)

生存学研究所・客員研究員

アンジェリーナ・チン(ポモナ大学歴史学准教授)
仲尾謙二(立命館大学生存学研究所・客員研究員)

院生

北島加奈子(立命館大学先端総合学術研究科)
ユ・ジンギョン(立命館大学先端総合学術研究科)
栗川治(立命館大学先端総合学術研究科)
欧陽珊珊(立命館大学先端総合学術研究科)
焦岩(立命館大学先端総合学術研究科)
田場太基(立命館大学先端総合学術研究科)
高雅郁(立命館大学先端総合学術研究科)

その他学外者

安孝淑(韓国ALS協会理事・先端総合学術研究科修了生(2018年度学位取得))