2022年3月:衣笠キャンパスWHILL実装実験1

文責:宮内沙也佳・大谷いづみ・川端美季
撮影:宮内沙也佳

2022年3月30日 立命館大学衣笠キャンパス WHILL実装実験

生存学研究所アクセシビリティ・プロジェクトのメンバーを中心に、衣笠キャンパスのバリアチェックをパーソナルモビリティWHILLに乗って行いました。メンバーの坂井めぐみさんはご自身の車いすで参加されました。なお、Zoomをつなぎ大谷いづみ先生から車いすユーザーにとってのキャンパス内での危険な場所などを適宜示してもらいました。

場所:図書館、衣笠キャンパス内ATM(2店)、明学館、キャンパス中庭、清心館、体育館、キャンパス内坂道

@図書館

  • 普通のテーブルでは、車椅子のコントローラーが机に当たり、膝を入れることができなかったです。2、3階の本棚の間にあるテーブルは、奥に壁がないので使いやすかったです。車椅子の種類によって、使いやすいテーブルが変わることも確認しました。
  • 丸テーブルはテーブルの脚の形が三角になっているので、うまく入れなかったです。
  • キャスター付きの椅子が少なかったことに気づきました。キャスター付き椅子は移動させやすいですが、転倒する能性も高く、移動させるにも怖いかもしれないと思いました。
  • スタンディングデスク(※検索用パソコンのある机)は使いやすかったです。しかし、スタンディングデスクのように高さ調整が可能な机が少なかったことも確認されました。
  • 一般向けの自動ドアについては、幅は大丈夫だが移動スピードの関係で止められてしまうことが確認されました。センサーの反応が柔軟に対応できると車椅子で移動しやすいと思いました。
  • トイレの出入口にあるパーテーションの影響で人とぶつかる可能性があるのではないかと思いました。
  • 入口のスロープは使いやすかったです。
  • エレベーターの延長ボタンがなかったです。

@衣笠キャンパス内ATM2店

  • 淸心館西側入口近くのATMと修学館東側出口近くのATMは、車いす用に設置したと考えているようでありながら、車いすユーザーは使えないような設計になっているのではないかと思いました。一部の身長の高いひとなどには対応できるかもしれないが、標準としている対象がわからず、ATMの入口などでは事故につながるのではないかと思われる箇所も散見されました。
  • 大谷先生が使用しているハンドル形電動車椅子では、清心館前にある車いす用銀行ATMのスロープ入り口は入れないと思われます。また、車いすを使用していない下肢障害者にとっては、手すりがないステップを上がるか、スロープを上り下りしなければならず、バリアフルであることが見て取れました。

写真1-4:ATMまでのスロープの幅が短いため、入退出の際に、左右に方向転換するのが難しく、スロープから落ちそうなこともあると思われました。

@明学館

  • エレベーターは、ベビーカーと車椅子が同時に入るくらいにスペースがありました。

写真5:エレベーターにのる様子。見えにくいですが、左側の人の奥にベビーカーがあります。

  • エレベーターには新しく非接触型ボタンが導入されていました。
    手を上下に振ることで、上階行きになったり下階行きになったりします。ただ、初めて使う人にとってはわかりにくく、センサーがうまく反応しない・反応しすぎるということがあり、使い方が結構難しかったです。またエレベーター内にはドアの開の延長ボタンがありませんでした。

写真6・7:エレベーターの非接触型ボタン、それを使う様子

写真8:明学館は大教室の横に長いスロープがありましたが、幅が狭く車椅子一台通るだけで人とすれ違うことが少し難しく思いました。

  • 建物内にある教室の扉が重くて、車椅子で入るには難しかったです。

写真9:明学館教室後ろのドアを開く様子。

  • スロープの踊り場すぐ横に階段があるのは落ちるかもしれないと緊張するひとが多かったです。

写真10・11:明学館の建物入り口のスロープを移動する様子。

@清心館

  • 多目的トイレは綺麗で広かったです。
  • 清心館エレベーターには延長ボタンがありませんでした
  • 自動販売機は上段のボタンは高くて、人によって手が届かない場合が予想されました。スナック等が置かれている自動販売機に関しては、基本的に低い位置での操作のみなので、車椅子に乗ったままでも購入がしやすかったです。最近の自動販売機ではキャッシュレス用にカードをタッチするだけで購入ができるので、手先が不自由な方でも比較的購入がしやすいのではないかと思いました。

写真12-14:清心館の自販機を車いすで利用する様子

  • 清心館1F奥にあるパソコンスペースでは、スタンディングデスクだったため、車椅子ユーザーでも比較的使いやすかったです。ただ、車いすユーザーにはやや高いようにも思えました。

写真15:パソコンスペースでの車いす使用の場合、デスクが高いことがわかります。

写真16・17:ドアを開け閉めする様子

@体育館

  • エレベーター内上部に鏡があってよかったという声がありました。
  • エレベーターは広く二台乗っても問題ありませんでした。

写真18:エレベーターに車いす二台で乗る様子

  • 体育館に行くまでの道中にある階段を目視では認識しづらく、急に現れる印象をもち、怖いという声もありました夜は特に危険なので灯りなどがあるとよいのではないかという声もありました。

写真19-22:車いすで入り口スロープを移動する様子

@諒友館横の洋洋館に向かう坂道

  • 坂道を登ることができる参加者はいましたが、参加者の一部には坂道の傾斜に対して恐怖感を覚える方もいました。

写真23-26:坂道を車いすでのぼる様子

実装実験でのその他の感想

  • 雨の降った日はフローリングの床が滑るので、WHILLタイヤをふけるものがあればよいのではないか。
  • 車椅子の荷物の置き場(置き場はあるけど出し入れが不便?)が困った。