まえがき

第Ⅰ部に収録されたシンポジウムが行われてから長い時間が経ってしまった。早くにその記録をなおしていただいたり、題Ⅱ部に収録された論文の再掲を許可してくださったにもかかわらず、刊行が遅れてしまったことについて、報告者・執筆者の皆様にお詫びするとともに、深く感謝申し上げる。
この冊子がどのようにして編まれたのかについては、編者による第Ⅰ部・第Ⅱ部の序を読んでいただきたい。その全体を構想し、再録するべき文章の筆者に依頼し、また新たに文章を執筆し、執筆を依頼したのは、編者たちである。
結果この冊子は、内容の豊富な、高い密度のものになったのだが、これをいったいどう受け止めたらよいのだろうと思った。刊行の遅延にはそんな事情もある。それでも結局、まとまったことは書けそうにない。もう一度お詫びする。
さてそれでもなにか言ってみることにしよう。と書き始めたら、すこし長くなってしまった。それらは素人として書くものであって、すべて論じられていることであるとは思うのだが、それでも、読んで考えたことを書いてみるのもまったく意味のないことではないとも思えた。ただそれは、挨拶が長引いて人に迷惑をかけるようなものだから、巻末に、2つの私の文章を置かせてもらうことにした。

この冊子は、立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点の成果として、2008年2月発行の『PTSDと「記憶の歴史」——アラン・ヤング教授を迎えて』、3月発行の『時空から/へ——水俣/アフリカ…を語る栗原彬・稲場雅紀』に続く立命館大学生存学研究センター発行のセンター報告3として刊行されるものである。3冊のいずれも、送料を負担していただけならお送りすることができる。問い合わせ等は事務局ars-vive@st.ritsumei.ac.jp。また本拠点のウェブサイトにも関連する様々な情報を掲載している。合わせてご覧いただければ幸いです。

2008年8月 立岩真也

■山本 崇記・北村 健太郎 編 20081020 『不和に就て——医療裁判×性同一性障害/身体×社会』,生存学研究センター報告3,198p.