Ⅰ 国際研究交流企画「ケアの論理と倫理──看護・感情・労働」企画説明

天田城介(立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授)

 本日は、お暑い中、立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点による共催企画でもある国際研究交流企画「ケアの論理と倫理──看護・感情・労働」にご参加いただき、誠にありがとうございます。私は、この企画のマネジメントをしております、立命館大学大学院先端総合学術研究科教員の天田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の企画は、できる限り日本の研究者や大学院生と密度の濃い研究交流を行いたいというパム・スミスさんとヘレン・カウイさんのお二人のご意向を受けて、実現したものです。そのため、このようなやや小規模な会場での開催となりました。報告していただくスミスさんやカウイさんとコメンテーターだけではなく、フロアの方々からの積極的なコメントや質疑応答も期待しつつ、議論を重ねていきたいと思っています。限られた時間を有効に使いたいと思っておりますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日、パム・スミスさんとヘレン・カウイさんの到着が若干遅くなっております関係で、開始時間も若干遅くなっておりますが、終了時間も延長して行いたいと思っておりますので、この点もどうぞよろしくお願いいたします。

 では、本日の進行について簡単にご説明させていただきます。まずスミスさん、カウイさんから30〜40分ほどで研究報告をしていただいたうえで、若干の質疑応答を行いたいと思っています。だいたいそこで1時間20分ほどかけたいと思っています。
その後、10分ほど休憩を取りまして、最初のコメンテーターとして、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任准教授の西川勝さんにコメントをしていただきます。その後、立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー(PD)として、立命館大学グルーバルCOE「生存学」創成拠点での研究に従事しておられる安部彰さんにコメントをいただきます。その後、同PDである有馬斉さんにコメントをいただきます。ちなみに本日、有馬さんにはスミスさんとカウイさんの通訳ならびにお二人のコーディネートもしていただいています。その後、本学大学院先端総合学術研究科博士課程の大学院生であります的場和子さんにコメントをしていただき、最後に私のほうからコメントをするというかたちになります。一人10分ぐらいでのコメントをお願いできればと思っています。だいだい全てのコメントで、約1時間ほどかかるかと予測されます。
 そしてその後、コメントに対するレスポンスを、スミスさん、カウイさんから20分ほどでいただき、更にはフロアからの質疑応答を含めて、お二人とともに全体討議を行っていきたいと考えています。以上のようなかたちで進行させていただきますので、皆様どうぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、以下3点ほど確認しておきたいと思います。
 第一点目は資料の確認です。ただいま皆さんのお手元に資料が4部あるかと思います。そちらが全て揃っているかをご確認ください。
 第二点目は使用言語についてです。本日は多くの方が日本語を母語とされる方々の参加かと思いますし、時間を効率的に使用する意味でも、この企画では基本的に日本語を中心に行いたいと思っています。スミスさん、カウイさんから英語で報告していただく内容については英語での資料を配布していますので、その概略についてのみ有馬さんに通訳していただくというかたちにしたいと思っています。したがって、逐語訳ではなく、要約というかたちでの通訳になりますので、どうぞこの点もご了承ください。またそのような形式で行うため、コメンテーターには基本的には日本語で話していただきます。そして、おおよその概要を有馬さんなどからスミスさん、カウイさんのお二人に伝えてもらい、即座にレスポンスをいただくというかたちにしたいと思っています。もちろん、皆さんが英語で質問やコメントをしたいということであれば、ぜひそのようにしていただければと思いますが、基本的に日本語で議論を共有していくようにします。この点もどうぞよろしくお願いします。
 第三点目は進行についてです。全体としては時間が非常に限られていますので、休憩時間は10分とさせていただき、進行はできる限りスムーズに行いたいと思います。もちろん、皆さんには自由に会場を出入りしていただいて構いませんので、適宜トイレ休憩なり、少し休まれるなりしていただければと思います。
それでは、スミスさん、カウイさんのホスト役であり、また本企画を中心となって進めてきました、立命館大学産業社会学部の崎山治男さんに司会をしていただきます。崎山さんには、このたびスミスさんとカウイさんが来日されるにあたって、すべての連絡調整をしていただいております。したがって、崎山さんからお二人の紹介をしていただくほうがよいのですが、時間の効率的使用ということを考えまして、ごく簡単にお二人のご紹介させていただきます。
 現在、スミスさんはサリー大学保健医療学部教授をされていて、ご存知のようにThe Emotional Labour of Nursing(1992)を刊行されております──日本では2000年にゆみる出版から『感情労働としての看護』という訳書が出ています。また、カウイさんは同じくサリー大学の保健医療学部教授でありまして、現在は広島大学のほうにサバティカル(研修休暇)で来られており、研究されています。したがって、カウイさんとは今後も日本において更なる研究交流も可能かというふうに思っております。

 それでは、ようやくお二人が到着したようですので、本格的な開始としたいと思います。定刻から開始が25分ほど遅くなりましたけれども、何卒ご容赦ください。それでは、崎山治男さん、よろしくお願いします。

崎山:皆さん、お待たせしました。本日はお集まり頂き、ありがとうございます。おそらく天田先生から趣旨説明や進行等はすでにご案内かと思いますので、時間も押しておりますことですし、早速パム・スミス先生のほうから研究報告をお願いしたいと思います。