開会の辞

(天田) こんにちは。それでは、すでに定刻を過ぎておりますので、本日の立命館大学グローバルCOE プログラム「生存学」創成拠点主催の特別公開企画「物語・トラウマ・倫理─アーサー・フランク教授を迎えて」を始めさせていただきます。
 私は、本日の司会を務めさせていただきます、立命館大学大学院先端総合学術研究科の天田城介と申します。どうぞよろしくお願いいたします。なお、後半以降の司会は立命館大学文学部のサトウタツヤさんにバトンタッチさせていただきますので、その点のご了承をお願いします。なお、本日は大変嬉しいことに多数の参加者にお越しいただいておりますので、できる限り座席は詰めて座っていただきますようお願いいたします。
 それでは、始めさせていただきます。開始に先立ちまして、立命館大学グローバルCOE プログラム「生存学」創成拠点の拠点リーダーであり、立命館大学大学院先端総合学術研究科教員である立岩真也さんから、ひとことご挨拶申しあげます。

開会の辞
立岩真也
(グローバルCOE プログラム「生存学」創成拠点拠点リーダー/立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)

 今日はみなさん、御参加ありがとうございます。そして、アーサー・フランク先生、ありがとうございます。
 私はCOE のリーダーということで挨拶をさせていただくのですが、それがいまは何をしようとしているかについては、長くなりますから、お話をいたしません。ただ、今日の催しについて、ほんのすこし。
 人は何かを語ったり、あるいは黙したりする。語りたいこともあるし、語ってしまうこともあるし、語らせられることもある。黙らせられること、黙ってしまうこと、黙っていたいことがある。それらはどんなことであるか。これは単純な問いですが、大切な問いであるようにも思います。そして、その傍に付き添っていたりする人たちは、いったい、そういう語りに、あるいはその沈黙に、どういうふうに応じたらいいのだろうと、戸惑ったりすることがあるかもしれません。また、そういったことを、職業といいますか、仕事とする人、そういう場面に付き合わざるを得ない人たちもいて、そこでも、どうやって、それに応じたらいいのかと考えてしまう。そしてまた、そんなことを研究というものに仕上げることを願う人もいるかもしれない。その人もやはり、どうしたらよいものだろうと、迷っている。
 そうした時、われわれは今日、そういったわれわれにとって、最もふさわしい先生をお呼びすることができました。アーサー・フランク先生です。紹介はサトウさんがしてくださるので、私からはいたしません。今回、先生は立命館大学の先端総合学術研究科の集中講義においでくださっていて、すでに四日間のうちの二日間、講義をしてくださっています。今日も入れて五日間の長い指導をしていただくということです。ありがとうございます。
 みなさんにとって、本日の催しから考えられること、得られるものがあるといいなと願っております。では、今日、よろしくお願いいたします。

(天田) ありがとうございました。続きまして、本企画にあたってご尽力をいただき、またフランク先生とたいへん親交が深い、立命館大学文学部のサトウタツヤさんからアーサー・フランク先生の詳しいご紹介をしていただきます。
 なお、フランク先生は、今回が2 度目の来日になりますが、2005 年の秋に来日されたときも、サトウさんが中心になってシンポジウムをコーディネートされています。その2005 年秋に立命館大学にて開催されましたシンポジウムにおいて通訳していただいた三田地真実さんに本日の通訳もお願いしております。三田地さんは教育ファシリテーション・オフィス代表であり、東京学芸大学兼任講師をされております。三田地さん、どうぞよろしくお願い致します。では、サトウタツヤさんからアーサー・フランク先生の詳しいご紹介をしていただきます。サトウさん、よろしくお願いたします。