依頼論文 決定を認められてこなかった人たちからの 代理意思決定への批判 ―国連障害者権利条約採択までの過程から

依頼論文

決定を認められてこなかった人たちからの
代理意思決定への批判
―国連障害者権利条約採択までの過程から

伊東香純

1. はじめに

西洋近代社会では自律(autonomy)に高い価値が置かれ、これが法的プロセスの基本にある。しかし、その社会ではすべての人の決定が同じく有効とみなされてきたのではない。たとえば、自己決定の有効性を認められてこなかった人たちのなかに女性がいる。これは差別であるとされ、そのような差別を解消するために1979年に第34回国際連合(以下、国連またはUN)総会で女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(以下、CEDAW)が採択された。CEDAWの第15条2項は次のような条文である。

締約国は、女子に対し、民事に関して男子と同一の法的能力を与えるものとし、また、この能力を行使する同一の機会を与える。特に、締約国は、契約を締結し及び財産を管理することにつき女子に対して男子と平等の権利を与えるものとし、裁判所における手続のすべての段階において女子を男子と平等に取り扱う。(UN General Assembly 1979=n.d.)

この条文の法的能力は、権利を有し法律の前に法的人格として認められる法的地位だけでなく、行為を法的に認められる権利である法的主体性を含むと解釈されている。つまりここでは、性別をその人の決定が認められるか否かの判断の理由としてはならないと定められている。
障害者も、しばしばこの権利が認められてこなかった人たちである。そして、その人の最善の利益を推定できるとされる他者が本人の代わりに意思決定する法的手続きがつくられてきた。そしてこの仕組みは、「合理的」な意思決定ができない障害者の権利を保護するためにあると説明されてきた。このような意思決定に関する議論は、2006年の第61回国連総会で採択された障害者の権利に関する条約(以下、CRPD)の策定過程で重要な位置を占めた。その交渉過程において、代理意思決定のなかで保護の対象とされてきた人たちからその仕組みが障害を理由とした権利の侵害であるとの批判がなされた。
CRPD第12条策定の議論では、法的能力に法的主体性を含むか否かが重要な争点の一つとなった。そこではCEDAWに倣って法的主体性を含めるべきだという意見が出されたが、これに対しては女性の権利と障害者の権利を同じように考えることはできないとの反論がなされた。採択された条文は、障害を理由に法的主体性を制限し障害者の意思決定を認めないことを許容するとも解釈しうるものだった。ただ、条約採択から8年後の2014年に採択された、第12条の解釈のガイドラインである一般的意見では、

法的能力は、権利と義務を所有し(法的地位)、これらの権利と義務を行使する(法的主体性)能力である。(中略)条約第12条の下では、認識された、あるいは実際の意思決定能力の不足が、法的能力の否定を正当化するものとして利用されてはならない。(Committee on the Rights of Persons with Disabilities 2014=2014: para.13)

と法的能力には法的主体性を含んでいること、それが障害を理由に制限されてはならないことを明確に述べている。
 この条約の採択までには、政府代表団の貢献はもちろんだが、障害者の非政府組織(NGO)の大きな貢献がある。本稿では、それらのNGOの中でも精神障害者の国際組織である世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(以下、WNUSP(World Network of Users and Survivors of Psychiatry))に焦点を当てる。WNUSPは、作業部会に出席するなどCRPDの交渉において重要な役割を担い、第12条をCRPDの中でも最大の成果と位置づけている。本稿は、CRPD採択までの過程で、代理意思決定の手続きに対して、その手続きの対象となる本人たちからどのような批判があり、それに対してどのような再反論がなされたのかを論点ごとに整理する。これによって、本人たちが求めている代理意思決定のオルタナティブの実践を明らかにすることを目的とする。そのための方法として、作業部会から第8回特別委員会までのデイリーサマリー1とそこに提出された声明文を意思決定の方法に注目して整理する。なお、WNUSPのメンバーは、CRPDの交渉にWNUSPとして参加しただけでなく、政府代表団のメンバーに入ったりそれぞれの自分の国の政府代表団に働きかけたりといった活動も精力的におこなっていた。しかし、本稿ではその全てを追うことは不可能であるため、WNUSPという組織あるいはNGOの連帯である国際障害コーカス(以下、IDC)としておこなった発言のみを精神障害者を含む障害者の発言として扱う2。

2 CRPD採択までの過程の概要

障害者の権利に関する条約をつくるという提案は、1987年にイタリア、1989年にスウェーデンからなされていたが、いずれも不採択となった。
1991年、精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則(以下、国連原則)が採択された。国連原則の原則11では、非自発的患者であること、同意能力のないこと、治療が本人の最善の利益になると見込まれることを条件に非自発的治療を許容し、原則16では、自傷他害のおそれのあること、同意能力のないことを条件に非自発的入院を許容している(UN General Assembly 1991: principle 11, 16)。同年発足した世界精神医療ユーザーネットワーク(以下、WFPU。のちのWNUSP)は、国連原則のなかでもとくにこの原則11と16を精神障害者の人権の侵害であるとして批判した。
1993年、障害者の機会均等化に関する基準規則(以下、基準規則)が採択された。ここでは、モニタリング機構の一つとして定められた専門家パネルは、その過半数が障害者の組織であることが定められていた(UN General Assembly 1993: IV-3)。1994年に専門家パネルが発足し、WFPUはその一員となった。委員会の障害者組織のメンバーたちは、基準規則の重要性を認めつつも法的拘束力のある条約の策定を望んでいた。そして、1999年に国際障害者団体長同盟がモニタリング委員会の障害者組織のメンバーを中心に結成された。国際障害者団体長同盟は2000年の第2回総会で国際障害同盟(以下、IDA)へと発展解消を遂げた。結成当初のIDAのメンバーは、障害者インターナショナル、世界ろう連盟、世界盲人連合、国際育成会連盟、世界盲ろう者連盟、WNUSPであった。のちに地域組織も加盟してIDAの規模は拡大していく。 IDAは、基準規則の改正と障害者の権利に関する条約の策定などを求めてきた。
最後に国連総会で条約の策定が提案されてから10年以上経った2001年、第56回国連総会でメキシコのイニシアティブにより条約に関する特別委員会を設置するという決議が採択された。ここで、条約をつくることが決まったわけではなく、この委員会はあくまでも「条約に関する諸提案を検討するため」の委員会であった(長瀬・川島 2004: 20-21)。
WNUSPは、資金不足のため発足後しばらくは医療者や家族との合同の組織である世界精神保健連盟(以下、WFMH)の世界大会と同じ会場で総会を開催してきた。しかし、1999年に国際障害基金から援助を受けられることが決まり、2001年からはWFMHから完全に独立して総会を開催するようになった。2001年にバンクーバーで開催された総会では、「私たちぬきで私たちのことを決めるな」というCRPDの交渉において障害者運動が主張してきた原則が、決議の一つに含まれていた。また、国連原則と基準規則が議題にあがり、基準規則の修正案が承認された(WNUSP 2001)。
2002年の条約策定の第1回特別委員会では、この委員会の議論をどのように進めていくのかが主に話し合われた。重要なことの一つとして、障害者の組織がその策定の議論に参加することを推奨することが決定した。第2回委員会までに条約作成を支持する多くの勧告や声明が出され、2003年の第2回委員会では、条約の草案を作成する作業部会を設置することが決定した。2004年の作業部会では、40名の出席者のうち12名は障害者の組織の代表者であった。その組織の内の1つがWNUSPであり、WNUSPの代表としてニューヨーク在住の弁護士であるミンコウィッツ(Tina Minkowitz)が出席し、積極的に発言した。障害者に関する国連の議論に障害者の組織がこれほど高い割合で出席したのは、初めてのことであり、このことはCRPDが画期的な条約である点の一つとされている。作業部会では、特別委員会議長による作業部会議長草案の枠組みのもとで、その草案と欧州連合によるEU草案やアジア太平経済社会理事会によるバンコク草案が検討され、この議論を経て作業部会草案が作成された(長瀬・川島 2004)。
完全独立してから2回目のWNUSP総会が2004年に開催された。ミンコウィッツは、条約交渉における貢献が讃えられ、共同議長に就任した。また、障害者権利条約についてのワークショップが開催された。そこではとくに第9条から第12条についてWNUSPは、基本的に作業部会草案を支持するという姿勢を示した(WNUSP 2004)。
作業部会で条約の草案ができ、2004年の第3回委員会から条約の中身についての議論が本格的におこなわれていくことになった。作業部会草案において、CRPDの第12条は、第13条「司法手続の利用の機会」と合わさって第9条「法律の前に人としてひとしく認められる権利」という条文として提出された。この作業部会草案をもとに2005年の第6回委員会までの議論が進められた。第6回委員会と第7回委員会のあいだに議長草案が出された。この時点で、第12条と第13条は別々の条文に分かれた。この草案は最終選択肢として代理意思決定を認めることを明記したものであった。2006年の第7回委員会のあと修正議長草案が出された。この第12条には、法的能力(legal capacity)という単語にその意味を法的地位(legal capacity for rights)に限定する場合があるという注釈がつけられていた。同年8月の第8回委員会のあとに出された条約の草案でもこの注釈は削除されなかった。同年12月の第61回国連総会にてCRPDは採択された。条約の採択時、NGOの代表として2名が講演をおこなったが、そのうちの1名はWNUSPのミンコウィッツだった。採択された条文では、法的能力に関する注釈は削除されている。

3 意思決定についての議論

交渉の過程で、これまでおこなわれてきた意思決定能力が不十分だとされる本人に代わって他者が意思決定をおこなう代理意思決定の代わりの方法として、支援された意思決定が提案された。支援された意思決定を推進していくべきであることは政府代表団とNGOの共通した見解であった。その上で支援された意思決定をおこなうことができない場合があり、その場合に代理意思決定をおこなうことを認めるか否かが議論の大きな争点の一つであった。

3-1 代理意思決定を存続させてよいという主張
3-1-1 法的主体性をもたない人の存在を認める
条約の草案をつくる作業部会に提出された作業部会議長草案【1】3に対してカナダは、自国では子どもは「完全な法的能力」をもっていないと述べ、重度の障害者も法的能力をもっていると私たちは思い込んでいるかもしれないが、実際はそうではないかもしれないと指摘した。そして、重度の障害者に対する締約国の機能を損なわないよう、法的能力は障害を理由として制限あるいは限定されるべきでないと断言するのではなく奨励する(encourage)などより柔軟な言葉を使うことを提案した(LSN 2004a=2004: 112)。このように法的能力を行使できない人が存在する可能性が指摘されたが、採択された作業部会草案【2】は、障害者に他の者との平等を基礎として完全な法的能力を認め、たとえその行使に支援が必要であったとしても、それは完全な法的能力の存在を傷つけるものではないと述べていた。
第3回委員会には、作業部会草案【2】の代案としてカナダによる草案も提出された。カナダ草案【3】の第3項は、代理人の任命に関する手続きに言及しており、それは本人の法的無能力の程度と環境に合わせられることとされていた。この草案には多くの政府代表団が賛同し、そのうちいくつかはとくに第3項に賛成であると述べた(LSN 2004c)。カナダ草案は、多少の修正を加えた上で第4回委員会にも提出された。そこでは、法的能力をもっていない大人という表現が、支援があっても法的能力を行使できない人と修正されていた。そして、その人の無能力(inability)の度合いに適した任命をすることとされていた。その草案は、第3回委員会と同様に多くの政府代表団から支持を受けた。カナダは、適切に保護された代理意思決定は、支援された意思決定があっても必要になる場合があると述べた。この理由は、法的能力を行使できない人が虐待や無視をされないようにするためだと説明された。作業部会草案とカナダ草案を合わせたという欧州連合の草案も法的能力が制限あるいは喪失していると判断される場合があること、代理人を任命する必要のある場合があることを認めていた。作業部会草案【2】に対してオーストラリアは、支援の内容について述べた第d項が自分の能力を行使できる個人の状況にしか対応していないと指摘した(LNS 2004d)。
第5回委員会までにカナダ草案の大きな修正はなかったが、その草案は依然として多くの政府代表団に支持されていた。作業部会草案が支援された意思決定しか射程に入れていないのに対し、カナダ草案は代理意思決定も含んでいるというのが、委員会での基本的な共通見解であった。日本やイラン、オーストラリアは、障害者が無能力の判断を受けたり、自身の法的権利を行使できなかったりする例外的な場合を含んでいるべきであるという点からカナダ草案に賛成した。成年後見制度についてチリは、障害者が権利を行使するために後見人(tutor or guardian)を必要とする場合があるとした。これに対してニュージーランドは、障害者には法的能力を否定されてきた長い歴史があり、条約は障害者が法的能力を行使するために必要とするシステムについて説明しすぎない方がよいと述べた。これは、障害者が自身の希望を言う機会を否定されてしまうことを防ぐためだとされた。しかし、代理意思決定を完全に否定する立場ではなく、作業部会草案も代理意思決定を射程に入れていると述べた。また、タイは、支援された意思決定と代理意思決定のあいだに実践的な違いはない場合があるという見解を示した。それは、哲学的な違いであり法制化することは難しいと述べた。そして、支援された意思決定が本人不在でおこなわれること、任命された人が障害者を単に支援するだけでなく代理することがありうることを説明した(RI 2005a, 2005b)。作業部会草案に対して法的無能力の状態が存在することを明記した代案が示され、この案が多くの政府代表団の支持を集めていた。この支持の理由は、そのような人の存在を保護することを保障しているからだとされた。また、法的無能力の状態とは、たとえ支援があったとしても意思決定のできない状態とされていた。
第6回と第7回委員会のあいだに出された議長草案【6】の第2項(b)では、最後の解決手段として代理人を任命する場合があることを明確に述べていた。他方、カナダ草案【7】では代理人への言及が削除された。第7回委員会でカナダは、この草案について代理意思決定を禁止するものではないが、支援された意思決定を推進するものであると述べた(RI 2006b)。セルビア・モンテネグロは、条約は代理意思決定に言及しなくてはならないと主張した。もし条文が支援された意思決定だけに言及した場合には、代理意思決定に反対する人たちがその条文を使って締約国が義務に違反していると主張するかもしれないと述べた(RI 2006c)。代理意思決定に言及しているか否かという違いはあるものの、作業部会草案もカナダ草案もそれを完全に禁止するものではないとされていた。さらに、条約が支援された意思決定だけに言及することにより、代理意思決定が批判にさらされるのではないかとの懸念も示されており、最後の手段とはされているものの代理はなくてはならないものと考えられていた。
修正議長草案【8】の第2項には、議長草案をもとにした案とカナダ草案をもとにした代案が示されており、さらに代案には第2案、第3案まで設けられていた。議長草案のバージョンは、最終選択肢として代理人の任命に言及していた。カナダ草案のバージョンは、実際に採択された条文に近いものであったが「法的能力」という単語に、一部の国連公用語の条文ではそれは主に法的地位を意味するという注釈がついていた。第8回委員会では、ほとんどの政府代表団、NGOがカナダ草案のバージョンの方を支持した。その注釈の存在にもかかわらずカタールなどいくつかの政府代表団は、法的能力が障害者の状況に適したものであるべきことを述べるか、「一般的に適用される法に従って」という文言を加えることを求めた。中国は、必要に応じて「この条文の文脈において『法的能力』の意味は、締約国の適切な法に従って解釈される」という条項を追加することを提案した(UN Enable 2006a)。IDCをはじめとする多くのNGOからも声明が出された。そのなかで「障害者の及びのための同盟」というNGOは、強度の知的障害をもつ自分たちの仲間は法的能力をもっていないとして、すべての障害者が法的能力をもっていることを条約において述べようという試みを大文字の太文字で強調して批判している(Federation of and for People with Disabilities 2006)。法的能力に主に法的地位を意味するという説明が議長による草案につけられたのはこのときが初めてである4。CRPDは、新しく障害者の権利をつくるのではなく、これまで障害を理由に否定されてきた権利を保障することを主な目的としていた。このため、障害を理由に法的主体性を否定させないという主張は、しばしばそれが新しい権利の創造やこれまでの権利の変更であると批判されていた。ここでも、CRPDを一部の既存の国内法や国際的な規則や条約に合わせようとする主張がなされている。
8月の第8回委員会が終わったあと、9月1日に条約の草案の第1稿が出された(UN Ad Hoc Committee on a Comprehensive and Integral International Convention on the Protection and Promotion of the Rights and Dignity of Persons with Disabilities52006b)。それから10月30日の第5稿まで4回の修正がなされた。第12条は、第1項の表現の仕方について1回目と2回目に修正があったものの、基本的には第1稿のまま保持された(UN Enable 2006b)。12月5日の第8回委員会では、法的能力の注釈を削除するかどうかが議論された。イラクなどは、法的能力を行使できない人については法的能力を、法的主体性ではなく法的地位であるという理解にもとづいてこの注釈の削除に同意するという手紙を出した(UN General Assembly 2006a, 2006b)。これに対して欧州連合とフィンランドなどは、すべての国連公用語の条文が同じ権威をもち、それらは同じ意味をもつとすることからこれに同意した(UN General Assembly 2006c)。このような経緯を経て、法的能力についての注釈は削除された(UN General Assembly 2006d: para. 4; 日本障害者リハビリテーション協会 2016)。このようにその手続きとしては、法的能力に法的主体性を含まない場合があることを認めつつ注釈は削除された。

3-1-2 本人の意思決定を認めることが難しいとされたのはどのような人/場面か
特別委員会のすべての回を通して意思決定能力が不十分であるために法的主体性を認められない人の存在を認める意見があった。それではこれらの主張において、代理意思決定はどのような場面でどの程度認められるものとされていたのかをみていく。
代理を例外的な場合に限って認めるのではなく、支援された意思決定とバランスをとりながらおこなっていくべきだというより広範囲に代理を認める意見があった。第3回委員会でオーストラリアの障害者組織は、制限のあるまたは完全な成年後見制度のもっとも非公式で文化的に適切で最小限の制限なものからより公式な選択肢まで支援された及び代理意思決定の十分な幅を支持するために必要な手続きおよび保障(safeguard)を確保するよう修正を求めた(LSN 2004c)。また、第4回委員会でインドは、障害者は自分の法的能力を主張し、支援者や家族は代理意思決定を主張とすると状況を説明した上で、代理意思決定のモデルの中で両者のバランスをとっていくことが重要であると述べた(LSN 2004d)。このような主張の多くは委員会の前半の回でなされており、徐々に代理意思決定はたとえ認めるとしてもより限定的な場面のみにする方向に議論が進んだといえる。
代理意思決定の位置づけについての意見として多く出されたのは、それは最終選択肢とすべきだという意見である。第3回委員会ではインドが、例外的な状況においては後見人の任命が障害者の最善の利益になりうるという条項を加えることを提案した。知的障害者のための組織であるインクルージョン・インターナショナルも限定的な期間の最終選択肢として代理意思決定が承認されることを望んだ(LSN 2004c)。第7回委員会でチリは、最終選択肢として代理意思決定が用意されていることは、障害者の法的能力を傷つけるものではないことを強調した。オーストラリアの障害者組織(People with Disabilities Australia)は、最終選択肢としての代理意思決定がなくては障害者の権利は実現されないと主張した。この理由は、治療に同意することのできない人が医療サービスを受けることができず、怠慢や搾取から保護することができないからだとされた(RI 2006a, 2006b)。代理を最終手段として位置づける主張においては、その選択肢の存在は障害者の権利を侵害するものではなく支援があったとしても意思決定できない人の権利を保護するものとされていた。
代理意思決定が必要だとされる具体的な場面については、決定者の障害の種別と決定の内容について議論がなされていた。まず障害の種別についての主張を確認する。第5回委員会でノルウェイは、法的能力をもっているか疑問がつく場合として具体的に、意識障害により自己の利益を他者に考えてもらわざるを得ない場合と、重大な罪を犯す可能性があるが重大な(major)精神病により罪に問えない場合を挙げた。さらにリビアは、障害者は脳損傷のような精神障害者を除いて完全な法的能力を享有できるというべきだと述べた。これに対してタイとメキシコは、障害の定義によって、法的能力を決めるのは障害の医学モデルに依拠していると指摘し、障害の種類を列挙すべきではないと主張した。そして、法的能力は障害の定義とも関わるとして、障害の社会モデルを支持すると述べた(RI 2005a)。第7回委員会の18日の議論でロシア連邦は、無能力の宣言が差別にはならない障害の分類が少なくとも1つはあると述べ、それは精神病だとした。そして、自分の行為を制御できないとき、締約国と社会はその人の利益を保護しなくてはならないと述べた。カタールも、身体障害者と精神障害者の法的能力は区別すべきだとした(RI 2006b)。さらにこの委員会の最終日にもシリア・アラブ共和国は、精神障害者は自身を法的に代弁する(represent)ことができないという初期の指摘を思い出すべきだとした。彼らには、法に従って取り扱われ、彼らの特別な環境も考慮に入れられる権利があると述べた。イェメンも自立して法的能力を享有することを許されない特定の障害があると述べた(RI 2006c)。意思決定が難しい場合として具体的に提示されたのは、一つは意識障害である。これは、意思の存在あるいはその内容を確認することが難しい場合といえる。もう一つのより多く話題にあがった障害種別は、精神病あるいは精神障害の場合である。精神障害のために本人の意思の内容を確認することが難しいという場合もあるだろうが、ここで主に議論の対象となっているのは他人が本人の決定を非合理的だと判断する場合であると考えられる。また、精神障害のためにその決定による結果に責任を負えないであろう場合についても言及されている。
意思決定の内容によっては代理が必要になるという見解は、第3回委員会ではインドが作業部会草案【2】の第d項から「拘束力のある合意又は契約を結ぶための支援、文書に署名するための支援並びに証人として立ち会うための支援」を削除し、支援の提供を努力義務にすることを求めた(LSN 2004c)。第7回委員会で日本は、後見人は財産に関する決定においては必要であると述べた(RI 2006a)。議長は、第5回委員会でたとえ障害者の財産は後見人によって管理されている場合でもそれは障害者の名前で登録されており、重度の障害者でも財産権を共有できているのではないかと述べた(RI 2005a)。オーストラリアの障害者組織は、治療に同意できない人が医療サービスを受けられないことを回避するために代理は必要だと主張した(RI 2006b)。議論にあがった意思決定の内容は、日本の成年後見制度が対象としている財産に関わる契約などの法律行為と、侵襲行為への同意である医療同意に分けられる。医療同意に関しては、それに代理が認められないことにより必要であるにもかかわらず医療サービスを受けられない人が発生するため必要だとされていた。

3-2 代理意思決定の廃止を求める主張
代理意思決定では意思決定能力を基準にその決定が認められるかどうかを判断する。本節では、これに反対する主張がどのようなものであったかをみていく。作業部会議長草案【1】に対してアイルランドやセルビア・モンテネグロなどは、第1項と第2項は、別の問題であると指摘した。これに対してWNUSPは、選択する権利を剥奪することは障害者の助けにならず、人間の尊厳および自治を支えるように効果的に権利を行使するための支援を提供することが障害者の助けとなるという理由から、関連した条項であると反論した(LSN 2004a=2004: 111)。また、自己決定の権利を奪うことが許されるどのような状況もこの条約に定めることはできないと述べ、例外をつくることを考えずにこの原則を適用することを求めた。(LSN 2004b=2004: 118)
第3回委員会でWNUSPは、

ある人たちは決定において支援を必要とするかもしれないし、ある人たちは高度の支援を必要とするかもしれない。しかし、これはその人たちが排除されるかもしれないことを意味しない。(中略)能力(capacity)が評価されるとき、とくに知的障害者や精神障害者の関わる場合には、それは差別の始まりとなる。たとえその評価が法的な推定でなくても、それは社会的な推定であり、立法者や裁判官はその社会的な推定を保持している。

と述べ、「委員会が支援された意思決定のモデルと権利を制限せずに支援を提供する問題を再検討することを勧め」た(LSN 2004c)。ここでWNUSPは、意思決定の能力を理由とする排除を批判している。また、個人の能力が評価されるとき、そこに法的な規定が付随していなかったとしても、そこには本人がどれくらい「合理的」に意思決定できるのかについての社会的な推定があり、これが差別につながっていくとされている。また、第5回委員会にIDCが提出した草案【5】には次のような注釈が付されていた。

私たちの草案は、代理意思決定のための条文を含んでいない。本人が困難をかかえていることに基づいて意思決定の権利を制限することを許容するのは、障害者の利益に反している。これは不公平であり、違いへの配慮や権利の平等で効果的な享有であるよりも、障害者への懲罰的でパターナリスティックなアプローチの典型である。(IDC 2005: 4-5)

ここでは、機能障害を理由とした権利の制限は本人の利益にならないことが述べられている。第5回委員会でニュージーランドは、法的能力と法的主体性のあいだに本当に必要以上の差異をつくらないように注意を喚起した(RI 2005b)。第7回委員会においてメキシコは、「保護」が権利の制限になる場合があることを認めた。IDCは、代理意思決定は無能力の前提、支援された意思決定は能力があるという前提に基づいており、前者は正当化できないとした。そして、2つの意思決定の方法をそれぞれパラダイムとして捉えてパラダイム転換を求め、両者が両立するものではないことを明言した。またこの会議に出席している精神障害者、知的障害者、重度障害者は彼らが意思決定できることを証明していると述べた。そして、社会によって無能力であり後見人が必要だとみなされている人たちがいるが、この条約はそのような想定と共にある国内法を追放しなくてはならないと主張した(RI 2006b)。第8回委員会に提出した声明においては、支援は望ましいものではなく本人の権利や利益にとって有害な影響があるというのは、間違った信念であるとして、あらゆる罰や羞恥心を伴うことなく支援が提供されることの重要性を述べた。そして、既存の法においてそのような支援は保障されていないため、国際法に従うという文言の削除を求めた。また、修正議長草案【8】を、支援のモデルと平等な法的能力の前提とで対立がおこるような解釈ができるものだと批判した。支援された意思決定と代理意思決定についてICDは、両者の違いは支援された意思決定には本人の決定権を剥奪する外部の決定が存在しないことだとも述べている。そして、すべてのレベルの支援や代理(representation)は、適切な保障(safeguard)とともに支援のモデルに含まれるべきだとしている(IDC 2006b: 26-27)。また、支援は人が法的能力を行使するのを助けるのに対し、代理は人の法的能力を引き受けること(to take over)だという区別もしている。支援された意思決定は本人の考えるニーズによって多様な程度や期間おこなわれ、ニーズは支援的な過程を経て確かめられる。他方、代理は全か無かであり、一度それをつけるととり除くまで続くと説明された(IDC 2006c)。
この主張では、個人間あるいは個人内でも意思決定能力に差があることは認めている。さらに、能力の評価が特に精神障害者や知的障害者が関係するときには差別になりうると述べていることから、その能力の差が障害の種別によっても生じうることを認めている。しかし、その上でその評価をその人の決定の有効性と関連づけることをしないという主張であるといえる。また、第4回委員会に提出された草案【4】でIDCは、意思決定は相互依存関係のなかでおこなわれていると述べており、本人の能力だけを評価することが実際の意思決定に則していないことも指摘されていた。このように支援された意思決定は、決定者の能力に基づいてその決定の有効性を判断する代理意思決定と両立するものではないとされていた。
採択までの手続としては法的能力に法的主体性を含まない場合があることが認められていた。しかし、12月13日の採択のときの声明ではフィリピンが、自国では法的能力をそれを行使することとして解釈すると述べている。また、IDCは注釈の削除は、障害者が生活のすべての側面において他の者との平等を基礎としてその行使を含めた法的能力をもつことを支持していると述べている(UN Enable 2006c)。

3-3 意思決定の支援
3-3-1 本人の権利、選好及び意思を尊重する
作業部会でWNUSPは次のような草案を提案した。

生活の全ての分野における個人的な事項について、全ての障害者は自分自身で判断を下す権利を有する。締約国はこの権利の認識および実施を約束し、その権利の行使および享有の障害となる可能性のある経済的、社会的、文化的要素を除去し、意義のある選択に必要な経済的、社会的、文化的機会の利用を保証する積極的な措置を行う。(LSN 2004a=2004: 111)

ここでは、障害者の自己決定権の重要性が強調され、それを可能にするためのさまざま措置をとることが締約国に求められている。作業部会草案が採択されたあとの第3回特別委員会から具体的にどのような支援が必要なのか、支援は代理の差異はどこにあるのかなどが検討されていくことになるが、その草案をつくる作業部会においてWNUSPが最初に強調したのは自己決定権の尊重であった。
支援の提供についての作業部会草案【2】の注釈33について、第3回委員会において障害種別をこえた国際組織である障害者インターナショナルは、この注釈の重要性を強調し、支援つき意思決定の基本的な権利を認識していないことが、世界中の障害者の施設収容、強制避妊など数多くの人権侵害を生んでいると述べた。WNUSPは、成年後見制度は「社会的及び法的死」であり個人を法の前に存在させない人権や尊厳の侵害であるとして、その押しつけを防ぐためにこの条文に賛同した(LSN 2004c)。第4回委員会でメキシコからも、作業部会草案【2】の第c項(i)に対して支援が人権の完全な享有を妨げないことを述べるべきだとの提案があった(LSN 2004d)。また、WNUSPは、第b項とこの第c項(i)の要素が欠けている点で、カナダ草案【3】に反対した(LSN 2004c)。2004年の第2回WNUSP総会では、障害者権利条約についてのワークショップが開催された。そこではとくに作業部会草案【2】の第9条から第15条について議論がなされた。WNUSPは、基本的に作業部会草案を支持するという姿勢を示し、第9条「法律の前における人としての平等の承認」については、第b項、第c項(i)、第d項の文言を保持すべきだとの目標を確認した(WNUSP 2004)。第4回委員会ではレバノンが、カナダ草案【3】を無能力を受け入れているとして批判した。そして、支援の必要性の認識を訴え、それは代理とは異なると述べた。また、メキシコもこの条文では、代理意思決定とは異なる支援された意思決定の原則を提示すべきだと述べた。IDCは両政府代表団の立場を支持した(LSN 2004d)。このように権利の行使に支援が必要であったとしても、それは本人の無能力を意味しないことが強調されていた。無能力の想定があるためにこれまで権利の侵害がされてきたと主張されていた。
意思決定の支援においてまず重要であるとされたのは、本人の自律を尊重することである。第3回委員会でWNUSPは、「その人の権利を剥奪したり制限したりすることなく支援を提供することは可能である。自律が尊重されるべきである。支援者は、支援される人の意思決定において意思決定を容易にす(facilitate)べきである」と主張した。そして、相互依存と信頼関係の重要性、及び「支援者が障害者の意思(wishes)の上で行動し障害者についての自分の意思を(障害者に)課すことによって彼らの地位を侵さないことを保障するための手続的な保護手段の必要性について話をした」(LSN 2004c)。IDCは、第4回委員会において草案【4】を提出し、この案に次のようなコメントを付した。

第9条の目標は、1)自分の意思に従って人生の選択や決定をし実行する権利、2)法的効力のある行為をする権利、3)自分を代表する権利(the right to represent oneself)、4)積極的な措置を必要とするかもしれないそれらの権利を行使することへの障壁を除去することである。この草案は支援された意思決定のモデルを採用しており、代理意思決定とは異なる。(LSN 2004d)

また、第7回委員会では、代理と支援の違いを支援された意思決定においては障害者本人が議論(discourse)の中心にあることだと説明した(RI 2006b)。
本人の自律を尊重することの重要性は、意思決定の内容以外のことに関しても述べられていた。第8回委員会に提出した声明においてIDCは、支援を受ける人は、満足しない場合に支援の提供者を解雇できるとしている。支援は本人の意思に反して押しつけることはできず、これは平等な法的能力の前提に反するという。さらにそれは、一人以上のネットワークをつくるのに有用でもありうるとする。そして、支援体制の定期的な審査が必要性について、昏睡や意識障害の場合には、本人の表現したあらゆる意志や選好に反しない不可避な決定がなされることを許容するように倫理的な法的措置が用意されなければならないと述べている(IDC 2006d)。また、第7回委員会でIDCは、「法的能力を行使するために支援が必要な場合に」という表現が他者が支援が必要かどうかを判断することを示唆していること、支援が「必要とされる支援の程度に応じたものであり、その人の状況に応じたものとする」という表現が自己決定よりも他者による障害者についての決定を示唆しているとして変更を求めていた(IDC 2006a)。このように実際に意思決定する内容だけでなく、そのための支援においてもそれが必要か、また誰が支援するのかなどについて本人の意思を尊重することの重要性が強調されていた。
このように本人の決定を尊重することの重要性が主張されてきた。IDCは、法的能力とは、法的システムの枠組みの中で人が何ができるかであると定義する。それは、構築されたもので物理的な実体があるわけではないが、すべての法的システムがその支配を受けるもの(subjects)とそれ自体のあいだに構築している関係であると説明している(IDC 2006c)。「精神病者のための行動」というNGOも、法学者であり精神障害の活動家でもあるインドのダハンダ(Amita Dhanda)の意見をもとに、法的能力が社会的に構築されたものであり、このため医学的アプローチの影響を受けていると指摘した(Action for Mental Illness 2006)。その上でIDCは、法的能力の否定は社会的偏見の法的強化であるとする。全ての障害者には、完全な人生(full human life)をつくる権利があり、それは能力(capacity)の行使の機会なくしてはおこらないとする(IDC 2006c)。つまり、自分の決定したことが有効と認められることは自分の人生をつくって行く上で不可欠なことだと説明されていた。

3-3-2 本人の能力の補助としての支援
第7回委員会でIDCは、支援された意思決定は0%から100%まで幅があり、能力が大きくなるにつれて支援は少なくなっていくと述べた。この説明に対し議長からは、意思決定の主体が決定において不在であるという点で、100%支援された意思決定は代理意思決定と同じではないかとの指摘がなされた。そして、それを認めるのであれば、代理の可能性に触れないよりも、適切な保護を設けるほうがよいのではないかとの提案があった。この問いかけにIDCは、自分たちの目標は成年後見制度を正当化しないことであると答えた。そして、100%の支援のニーズは徐々に99%や98%に変わっていくということを支援された意思決定においては述べているのであり、このようなことは代理意思決定では不可能だと説明した。議長は、保護つきで最終選択肢としての代理を維持しながら支援に基づくアプローチを促進していくことのバランスをとるためにさらなる議論が必要であると述べた。また、0%から100%の支援の幅という発想について創造的に考えることで、支援の文脈の中に代理を組み込める枠組みがあるのかもしれないとこの日の第12条の議論をまとめた(RI 2006b)。このことは第8回委員会に提出された声明でも次のように説明されている。IDCは、支援モデルは本人の意識がないときのような他人が障害者の決定をする場合があるということを認識しているとする。しかしそのモデルでは、緊急のニーズの世話がなされる間も法的能力の行使を開始することを本人に促すために支援が提供される。支援が多様な程度や期間に応じて提供されるのに対して、代理は全か無かであると違いが説明されていた(IDC 2006c)。
ここでは、意思決定の能力によってその決定が有効かを判断することは否定している。しかし、その能力に個人間で差異があることを認めた上で、その能力を補うという役割を支援に担わせている。

3-3-3 誰が何を支援するのか
IDCは、第4回委員会に提出した草案【4】の第3項(a)で、本人が信頼できる人とともに複数人で決定をおこなえるようにする支援と、事前指示書や弁護士のように本人の決定を支持する支援の両方を提案している。この提案は、第5回委員会に提出した草案【5】の第4項でより抽象的な説明になっている。ただし、第5項では締約国に意思決定ためのネットワークを形成するための支援を求めており、複数人での意思決定がとりあげられている。第7回委員会にNGOから提出された声明において、インクルージョン・インターナショナルのバッハは、本人によって選ばれた友人、家族、信頼できるそのほかの人と相互に依存しながらなされる意思決定が法的に有効と認められるべきだと述べた(Bach 2006)。複数人で共に決定していくという発想に対してオーストラリアの障害者組織は、障害者は彼らのもっとも傍にいる人たちによっていつも保護されているという想定は、非現実的であり危険であると述べている(People with Disability Australia 2006)。複数人で決定をおこなうという場合に、一方で、本人のことをよく知った人が関われるようにすべきだという主張があり、他方で、本人のそばにいる人が支援することの危険性と非現実的さが指摘されていた。
支援の内容に関して医療同意についてIDCは、精神医療の文脈における強制介入は、法的能力の支援のモデルに反するとされる。その理由は、その介入は完全な意思決定能力(decision-making capacity)を本人に復活させるために必要だとされるため、診断にも提案された治療にも反対する余地がないためだと説明されている(IDC 2006e)。

4 まとめ

特別委員会の議論において意思決定能力に関して、実際には意思決定は周囲からの影響を大きく受けつつおこなっているにもかかわらず、それを考慮にいれず能力を評価しそれだけに基づいて本人の決定を有効と認めるか否かの判断をおこなうことが批判されていた。しかし、意思決定能力に個人間で差があることは、共通した認識であった。この差異への対処として単純な方法が代理意思決定である。他者が本人にとって利益になると推定する決定以外の決定を排除することが、実際に本人の利益と合致することもある。この場合をとりあげて代理意思決定は、自分で「合理的」な決定ができないとされる人の権利を守る仕組みとして説明されてきた。
しかし、この代理意思決定制度を廃止すべきだという声をあげたのはその制度で保護の対象とされている精神障害をはじめとする障害者のNGOだった。彼らは代理を権利の侵害であるとして批判し、その代わりに支援を提案した。支援された意思決定は、ほとんどの政府代表団とNGOが支持した。しかし、NGOが主張したのは、2つの意思決定の方法は両立せず、代理を廃止した上で支援を推進するということであった。支援された意思決定では、原則として本人の意思を尊重することとされていた。これは意思決定の内容に関してだけではなく、意思決定の支援の仕方に関しても同様である。その上で、実際にどのように支援された意思決定をおこなっていくのかということに関しては、まだ議論がし尽くされていない。代理と同様の状況がおこってしまいうる100%の支援が必要な場合の支援の仕方や、複数人で決定するという場合の本人の意思の尊重の仕方、責任の引き受け方など特別委員会の議論のなかでは決着のつかなかった問題が残っている。
このようにその実施においては多くの課題があるが、代理意思決定の改良ではない支援された意思決定というアイディアは依然として画期的なものである。その理由の一つは、それが意思決定の能力に基づいて誰が決定者あるいは支援者として適格かを考えることを否定している点である。もう一つは、支援された意思決定は代理の代替策として従来の仕組みにおいて不利益を被ってきた人たちが主に提案してきた方法である点である。代理意思決定に対してなされた批判をふまえた上で、支援された意思決定の実施の仕方を考えていくことが求められている。


1 デイリーサマリーは,CRPDの特別委員会での公式の会議の議論をNGOがまとめたものである.第1回から第4回特別委員会までは地雷サバイバーネットワーク(以下、LSN(Landmine Survivors Network)),第5回から第7回まではリハビリテーションインターナショナル(以下,RI(Rehabilitation International))が担当し,第8回委員会については公開されていない。
2 CRPDの第12条の策定過程の議論については、法的能力の意味に関してDhanda(2006)、日本の成年後見制度への批判に関して池原(2010)、代理意思決定と支援された意思決定の差異に関して拙稿伊東(2017)なども参照。
3 【】内の番号は、[資料]に掲載されている草案の左の番号に対応している。
4 法的能力の意味に関する翻訳の問題は、これまでにも指摘されていた。第5回委員会では中国が、自国は大陸法と慣習法のうちの前者であり、中国語では法的能力と法的主体性(capacity to act)とは異なる意味をもつと説明した。これに対してイェメンは、これは翻訳の問題ではなく、単語の意味の問題は適切な訳語によって解決すべきだと主張した(RI 2005b)。中国は、第7回委員会でも自国の刑法では法的主体性(legal capacity to act)は、刑事責任能力を意味すると説明した。その上でそれを平等にすることは障害者を保護することにはならないと述べ、法的能力の意味を明確にすべきだと主張していた(RI 2006b)。ここでは、行為を法的に認められるということではなく、法的主体性という用語のある言語やある国の国内法における意味が検討の対象とされていた。
5 以下、「UN AHC on CRPD」と記す。

資料
◆作業部会(2004年1月5日から16日)
◇【1】作業部会議長草案
第11条:法の前に人として認められる権利
1.すべての人は、完全な法的能力をもち、法のまえに人としてあらゆる場所で認められる権利をもつ。この権利は、障害(disability)や機能障害(impairment)に基づいて制限あるいは限定されない。
2.自分の権利を主張したり、提示された情報を理解したり、自分の選択を表明または疎通したりすることに困難を経験している障害者は、その人自身の決定に効果を与えるという目的でアドボカシーの支援やほかの合理的配慮を提供される権利をもつ。
(Chairman of Ad Hoc Committee 2003)

◇【2】作業部会草案
第9条 法律の前における人としての平等の承認
締約国は、
(a)障害のある人を法律の前に他のすべての者と平等な権利を有する個人として認める。
(b)障害のある人が他の者との平等を基礎として完全な法的能力(財政事項を含む。)を有することを是認する(注釈32)。
(c)障害のある人が完全な法的能力を行使するための支援が必要な場合には、次のことを確保する。
(i)この支援は、その者が必要とする支援の程度に比例し、その者の状況に合わせて仕立てられ、かつ、その者の法的能力、権利及び自由に干渉しないこと。
(ii)関連のある決定は、法律で確立された手続及び関連のある法的保護の適用に従ってのみなされること(注釈33)。
(d)自己の権利を主張し、情報を理解し、かつ、コミュニケーションをとることに困難を経験する障害のある人が、自己に提供される情報を理解するための支援、自己決定、選択及び選好を表明するための支援、拘束力のある合意又は契約を結ぶための支援、文書に署名するための支援並びに証人として立ち会うための支援を利用できることを確保する(注釈34)。
(e)財産を所有し又は相続し、自己の財政事情を管理し、かつ、銀行融資抵当貸付及び他の形態の財政的信用供与を平等に受けることができる、障害のある人の平等な権利を確保するため、適当かつ効果的なすべての措置をとる。
(f)障害のある人がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
(注釈32)このサブパラグラフは、子どもが完全な法的能力を有することが一般的に受けいれられていないことを認めて、したがって、障害のある子どもの場合もそうでないことを認めることを意図したものである。法的能力の点からみると、障害のある人は障害を理由とする差別なしに取り扱われるべきである。
(注釈33)サブパラグラフ(c)は、障害のある人がその法的能力を行使するための支援の提供を認めるものであって、たとえ障害のある人がその法的能力を行使する際に支援が必要な場合にも、完全な法的能力があるとの想定に基づくものである。サブパラグラフ(c)(ii)は、法的保護が適用されなければならないという例外的な環境においてのみ適用されることを意図している。特別委員会は、このサブパラグラフが十分に明確なものであるか否か、また、法的能力を行使できない障害のある人を保護する最良の方法がどのようなものであるか、を検討することを望むかもしれない。別個のサブパラグラフが、このために必要とされるかもしれない。作業部会の構成員の中には、障害のある人のために他の者が法的能力を行使する場合には、その者の決定が障害のある当事者の権利及び自由に干渉すべきでない、と提案した者もいる。
(注釈34)サブパラグラフ(c)の前半部分は、法律の前での平等な人として障害のある人を認めること以上に、より一般的に適用されるものである。特別委員会は、このパラグラフの条約における最も適切な配置を検討することを望むかもしれない。
(UN AHC on CRPD 2004=2004: 69-70)

◆第3回特別委員会(2004年5月24日から6月4日)
◇【3】カナダ草案
1.締約国は、市民的なこと(civil matters)において、障害をもった大人はほかの大人と同一の法的能力をもっていることを認識すべきであり、法的能力の行使のために平等な機会を与えるべきである。とくに障害をもった大人は契約を結ぶため、財産を管理するための平等な権利をもっていることを認識し、裁判や取調べの手続きのすべての段階において彼らを平等に扱うべきである。
2.締約国は、障害をもった大人が、情報を理解するため、また決定、選択、希望を表現するための支援を含めて、法的能力を行使するために支援を必要とする場合には、その支援はその大人の個人的な環境に必要でその環境に合った支援の程度に比例することを保障すべきである。
3.法に規定された基準や手続きのもとで適格かつ独立かつ公平な権威だけが、ある大人が法的能力をもっていないと認められる。締約国は、その大人の代わりに法的能力を行使するために代理人の任命のための適切な保護手段の手続きを法的に規定すべきである。そのような任命は、次のことを含めて、この条約及び国際的な人権法と矛盾しない原則によって導かれるべきである。
(a)任命がその大人の法的無能力(legal incapacity)の程度に比例し、その大人の個人的な環境に合わせられることを保障すること。
(b)代理人がその大人の決定、選択、希望を可能な限り考慮に入れることを保障すること。
(LSN 2004c)

◆第4回特別委員会(2004年8月23日から9月3日)
◇【4】IDC草案
第9条:法の前及び下に人としてひとしく認められること
締約国は、法的能力の生得的な性質(inherent nature)を認識する。締約国は、個人は独立してだけでなく、相互依存関係の文脈のなかで意思決定をおこなっていること、意思決定において支援を受ける人は、その人の法的能力や権利、自由を維持することを認識すること。この目標のために締約国は以下のことをおこなうべきである。
1.他の者との平等を基礎として法の前及び下に権利と義務の主体として障害者を認める。
2.障害者が他の者と同一の法的能力をもっていることを認め、彼らに平等な権利と、その能力を行使する機会を与える。
3.法的能力が支援つきで行使されるかもしれないことを認める。この目標のために締約国は以下のことをおこなうべきである。
a)他の人あるいは他の人たちへのその人の信頼の表現に基づいて個人間の関係での支援された意思決定を認めるため、また事前指示書及び弁護士(attorney)の権力を作成および利用するための法的な仕組みを提供する。
(LSN 2004d)

◆第5回特別委員会(2005年1月24日から2月4日)
◇【5】IDC草案
第9条 法の前に人として等しくみとめられること
1.締約国は、障害者が法の前に人として認められる権利をもっていることを認める。
2.締約国は、障害者が他の者と同一の法的能力をもっていることを認め、彼らに平等な権利と、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的問題とそのほかのあらゆる場面においてその能力を行使する機会を与える。
3.締約国は、障害児が自信に関係することについて自分の意見を表明する権利と機会をもっていることを保障する。彼らの意思は、障害のない子どもと平等にその子どもの年齢と成熟に合わせて適切な重みを与えられる。
4.締約国は、障害者が、情報を理解するため、及び自身の決定や選択、希望を表明するための支援を含めて法的能力を行使するための支援を利用する権利をもっていることを保障する。また、そのような支援が、本人の要望を満たすのに十分であり、本人の法的能力や権利、自由を尊重することを保障する。
5.締約国は、支援された意思決定のためのネットワークを形成するために適切な情報と資源を提供する。
(IDC 2005)(注釈は省略)

◆第6回特別委員会(2005年8月1日から8月12日)
◇【6】議長草案
第12条 法律の前における人としての平等の承認
1.締約国は、障害のある人が、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有することを改めて確認する。
2.締約国は、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての分野において[法的能力]を有することを認めるものとし、また、[その能力][行為能力]を行使するための支援が必要な場合には、次のことを可能な範囲において確保する。
(a)提供される支援が、要求された支援の程度に比例し、かつその者の状況に適合したものであること並びに、その支援が、その者の法的能力を害さず、その者の意思及び選択を尊重し、かつ利益相反及び不当な干渉を生じさせないこと。適当な場合には、その支援が、定期的なかつ独立の審査に従うこと。
[(b)締約国が最後の解決手段として法律で定めるものとする人格代理人の手続を定める場合には、その法律が適当な保護(人格代理人の任命及び人格代理人についての、権限のある公平なかつ独立の裁判所による定期的な審査を含む。)を提供すること。人格代理人の任命及び行為が、この条約及び国際人権法と両立する原則に基づくこと。]
3.締約国は、財産の所有又は相続についての、自己の財務管理についての並びに銀行貸付、抵当その他の形態の金融上の信用への平等なアクセスについての障害のある人の平等の権利を確保するためのすべての適当かつ効果的な措置をとる。また、締約国は、障害のある人がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
(UN AHC on CRPD 2005a=2006)

◇【7】カナダ草案
1.締約国は、障害のある人が、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有することを改めて確認する。
2.締約国は、障害のある人が他の者との平等を基礎として生活のすべての局面において[法的能力]を享有することを認めるものとし、また、[その能力][行為能力]を行使するための支援が必要な場合には、次のことを可能な範囲において確保する。
2.(IDCの提案に基づく代案)締約国は、障害者が法的能力の行使において必要とする可能性のある支援へのアクセスを可能にし、支援の提供における濫用を防ぐための適切な保障を提供するための適当な立法あるいはその他の措置をとる。
3.締約国は、特に財産の所有又は相続についての、自己の財務管理についての並びに銀行貸付、抵当その他の形態の金融上の信用への平等なアクセスについての障害のある人の平等の権利を確保するためのすべての適当かつ効果的な措置をとる。また、締約国は、障害のある人がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
(Canada 2006)

◆第7回特別委員会(2005年1月16日から2月3日)
◇【8】修正議長草案
第12条 法の前にひとしく認められる権利
1.締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。
[2.締約国は、障害者がすべての分野において他の者との平等を基礎として[法的能力]をもっていることを認め、その能力を行使するために支援が必要な場合に、以下のことを保障する。
(a)提供される支援は、必要とされる支援の程度に応じたものであり、その人の状況に応じたものとする。当該支援は、その人の法的権利を損なうことはなく、その人の意思及び選好を尊重し、利益相反や不適切な影響にさらされない。当該支援は、定期的な独立の再審査を受ける。
(b)締約国が最終選択肢として代理人を任命するために法によって規定された手続を提供する際、当該法は、権限のある、独立の、かつ公平な裁判所によって代理人の任命及び代理人による決定の定期的な審査をうけることを含めて、適切な保障を提供する。代理人の任命及び運営は、既存の条約及び国際人権法と矛盾しない原則によってなされる。]
 または:代案:
[2.締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力(注釈1)を享有することを認める。
2第2案.締約国は、障害者が法的能力を行使することにおいて必要とするかもしれない支援に障害者がアクセスできるようにするために適切な法的及びその他の方法を採る。
2第3案.締約国は、法的能力の行使に関連する全ての法的及びその他の措置において、濫用を防止するための適当かつ効果的な保障を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保障は、法的能力の行使に関連する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに定期的な権限のある、独立の司法の審査の対象となることを確保するものとする。当該保障は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じたものとする。]
3.締約国は、障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を利用する均等な機会を有することについての平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
(注釈1)アラビア語、中国語において「法的能力」という単語は、「法的主体性(legal capacity to act)」よりも「法的地位(legal capacity for rights)」に適用される。
(UN AHC on CRPD 2006a)

◆第8回特別委員会(2006年8月14日から8月25日と12月5日)

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