著者と参加者一覧

著者と参加者一覧(★監修 ☆編者)

著者一覧

★上野千鶴子
立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授
2012年から任期5年間の約束で立命館大学先端総合学術研究科に勤務しました。その前は東京大学大学院社会学研究科で合計18年間教えました。もとは京都大学大学院を修了後、平安女学院短期大学、京都精華大学に勤務。京都に長く住んでなじみがありましたので、立命館からオファーがあったときには、喜んでお受けしました。それから隔週金曜日に京都へ通う日が続きました。院生諸君は大半が現場を持つ社会人。学位論文を書いて、自分の人生の証を情報発信することを求めていました。教えたかったのは研究とは何かのノウハウです。学知とは、伝達可能な知の共有財。みごとにその成果をアウトプットにしていただきました。教え甲斐のある院生さんたちでした。

☆一宮茂子
立命館大学生存学研究センター客員研究員
私は20年以上にわたり生体肝移植ドナーについて多数の聞きとり調査をおこなってきました。得られた語りは「非常に貴重」と査読者から評価を受けましたが、どうすれば博論となるのか、その研究方法がわからず長年データの洪水の中でもがいていました。そのころ、うえの式質的分析法を学んだ結果、一気に展望が開けて分析枠組みが完成し、博士学位論文を執筆することができたのです。私は、このような分析方法をもっと早くに学んでいたら、博論完成まで10年もかからなかったと思います。

☆茶園敏美
京都大学アジア研究教育ユニット研究員
研究で悩んでいたときに縁あってうえのゼミに参加し、うえの式質的分析法をご教示いただきました。この分析ツールは、わたしの人生を一転させるツールとなりました。その成果は短期間の間に、非常勤講師として関わっている看護学生たちのケースレポート、『看護師をめざすわたしたちのアイデンティティ』(茶園編集 未出版)と、拙著第2弾『もうひとつの占領 セックスというコンタクト・ゾーン』(インパクト出版会 近刊)に結実しました。

萩原三義
立命館大学生存学研究センター客員研究員
私は主にがん患者さんやそのご家族等と共に、その不安やストレスの対処方策として、患者さんやご家族の経験が語られ、スキルが発揮できる場を創る実践や、「認知症カフェ」を通じて、その場に居合わせた一人ひとりが、生存の知恵を身につけた者として自己を表現し、相互に学び合うことのできる仕掛けについて考えています。うえの式質的分析法は、私自身の経験を研究という形に変換する強力なツールだと感じています。

参加者一覧(あいうえお順)

植村要
立命館大学人間科学研究所客員研究員
質的研究による論文は、ともすると調査結果である語りの引用集のようになることがあると思います。他でもない私もそのような論文を書いてきました。質的研究についての本を読むと、その意義などについては丁寧に説明されていても、分析方法については必ずしも十分に説明されていなかったと思います。しかし、うえの式質的分析法は、語りの構造を分析し、再構成し、考察し、結論を導き出す一連の過程が手順化されています。うえのゼミに参加して、うえの先生から直接この方法を学ぶ機会を得られたことを、とても感謝しています。

宇治和子
奈良女子大学大学院博士研究員
私はDV被害者研究をしています。専門は臨床心理学です。心理学領域でも質的研究は行われているのですが、膨大になりがちなデータを分析にのせるのはとても難しく、その感覚がつかめなくて悩むことが多かったです。このゼミの研究手法を学んで、情報の取扱いから分析への展開の仕方がよく見えるようになりました。データ情報の引き出し方で苦労することがなくなって研究の幅が広がり、とても感謝しています。

桶河華代
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
わたしは訪問看護師の経験から在宅での看取りについて研究しています。在宅看取りを経験した家族の語りに着眼して、うえの式分析方法で分析しています。また、看護学生に質的分析方法を教えるうえで、うえの式分析方法が出版されることに感動です。立命館でのうえのゼミ(ru2012〜2016)での学びを今後に活かせていきたいです。

窪田好恵
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
私は、半世紀にわたる医療と福祉の協働により実践されてきた重症心身障害児者施設における「療育」とはいかなるものかを看護の視点から捉える研究を行っています。歴史的背景や法制度などを踏まえて、看護師の語りをどのように分析するか悩んだときに、うえのゼミに参加して「質的研究の分析方法」を初めて具体的にご教授いただいたおかげで、前に進むことができました。

小辻映里
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
同志社大学大学院法学研究科博士前期課程修了。修士(法学)。現在は研究対象として個人番号制度を扱っています。この度うえの式質的分析法の実習に参加することを通して、当該方法に基づいた分析から思考へと導く過程を学ぶことができました。うえの式分析方法は多数の領域で活用可能な思考方法の一つでもあるので、今後の研究活動をする際には効果的なツールとして活用させていただきます。

栄セツコ
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
私は精神科ソーシャルワーカーとして、精神障害をもつ人々とのパートナーシップとは何か、専門職として何が必要なのかについて研究しています。その一つが「語りによるエンパワメント」です。うえのゼミに参加し「言葉が社会をつくる」ということを学び、「語りのもつ力」が語った本人の自己改革と社会変革をもたらすことを体感的に理解しつつあります。

鮫島輝美
京都光華女子大学健康科学部看護学科講師
京都大学大学院人間・環境学研究科単位取得退学。博士(人間・環境学)。専門は、理論看護学とグループ・ダイナミックス。テーマは,病や障害を抱えても,〈疎外〉されずに生活するために必要な支援・コミュニティとは何か。
ゼミに参加したのは,博士課程を修了後,逆に論文が書けなくなり,そこから抜け出したかったからです。懇切丁寧に指導する姿に感銘すると同時に,これまでの学びの「具体」がつまっており,自分の中で「血や肉となりつつある」ことに感謝しています。

白田幸治
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
わたしが取り組んでいるのは精神障害当事者研究です。わたしが経験したこころの病いの生きづらさとその病いを抱えて生きる生のありようを研究という形式で明らかにすることがわたしのテーマです。研究の基礎となるデータは同じ生きづらさを抱えた病者からわたしが聴き取った語り、さらにわたしと彼女や彼らの語り合いです。それをうえの式質的分析法で分析しています。「わたし」が多いのは当事者研究だから?!

杉島優子
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
私は日本における胃ろうの普及過程と胃ろう抑制からみえてくる高齢者医療の問題点に着目した歴史研究を行っています。幸いなことにうえのゼミに参加でき、うえの式質的分析法を学ばせて頂いたことで、質的研究の幅が広がりました。うえの先生から丁寧な分析手法をご教示頂いたことを、今後の研究に必ず役立てていきたいと思います。

鈴木陽子
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
2016年3月までの3年間、沖縄に居を移し、沖縄のハンセン病回復者の皆さんの傍で暮らしてきました。3年間、療養所から退所した人の車に乗せてもらい、行く先々、様々な場に同行し、ご家族との旅行にも参加させてもらいました。沖縄に行くまでは、回復者の方々とこのようなつながりを持てるとは思ってもいませんでした。現在、3年間の沖縄滞在で得た膨大な情報を何とか形にしていかなければと思っています。

中嶌清美
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
過労死家族の会の研究をしています。1990年に夫を過労死で亡くし、労災認定はされました。ですが、いろいろ悩み、立命館大学に社会人入学して、過労死家族の方に聞き取り調査をして研究を続けています。うえのゼミの質的分析法の実習では目からうろこでした。今まで知っているKJ法とは別物でした。修士論文では、分析方法で悩みましたが、うえの式質的分析法は最強のツールだと思います。遺族の思いを一つ残らず拾って分析できるかなと思っています。

中西京子
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
私は、訪問看護ステーションで働く看護職の労働に関する研究に取り組んでいます。うえのゼミに参加し今年で2年目になります。1年間の講義は、綿密に構成されており、その中で、理解しながら皆さんについていくのが必死で、なんとか論文としての成果を出さなければともがいている状況です。うえのゼミで「質的研究の分析方法」をご教授いただき、これを用いた分析により論文を仕上げていきたいと思っています。

橋野佳子
元放送大学教養学部生活科学コース
精神障害当事者研究について学びたく、うえの式質的分析法の実習に参加させていただきました。情報の分類を繰り返す中で、少数意見が1カテゴリーを作り、他カテゴリーとの関連を通して最終的には、多数意見も少数意見も包括した新しい視点を生み出していく。その過程は圧巻で、方法の持つ力を目の当たりにした思いです。このような分析方法をご教授いただき感謝しています。

畑野相子
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
私は、赤ちゃん人形と認知症高齢者の関係に興味関心と不思議さを抱き、研究に取り組んでいるが暗礁に乗り上げています。ようやく昨年の暮れからうえのゼミに参加することができ、「質的研究の分析方法」を学び、またメンバーのすごさに圧倒されながら自己を叱咤激励しています。まだ暗礁から解放されたとは言えませんが、少し前に進むことができました。「学ぶ」は「まねる」から来ているといわれています。真似て学んでいこうと思います。

濱野ちひろ
京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻修士課程
うえのさんの名著、名キャッチコピーの数々はどのように生み出されているのか?その秘密の一端が知りたくて、うえの式質的分析法を学びに。私はフリーライターとして、長年、雑誌記事などを執筆してきましたが、思考整理法ともいえる「うえの式」には目からウロコが落ちる思い。もっと早く知っていれば私の人生、違ったかも?!とはいえ人生はいつからでも変えられるから、今後は私の専門分野である文化人類学の研究に活かします。

藤井美恵子
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程・産業カウンセラー・幼稚園&小学校教諭・保育士・日本語教師・筆跡診断士補
宗教が社会に与える影響をテーマの研究しております。愛憎渦巻く人生を真理との邂逅(廻心)に導く説法などを言説研究で分析する手法で進めています。第二次世界大戦時に浄土真宗の団体が医療と連携して結核治療に取り組んだ事例に取り組んでいます。教育学・心理学・.男女共生も研究範囲内です。将来はイギリスを拠点に欧州の人たちと共同研究します。

三輪佳子
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
高校卒業→予備校生兼プログラマ→研究所技術員+大学生・修士院生(物理)→半導体のシミュレーション全般に関わる企業内研究者→(紆余曲折)→社会保障・社会福祉ライター(筆名:みわよしこ)→学問的基盤のもとモノ書きたく先端研に→生活保護に関する政策決定を研究→五里霧中→うえのゼミで前進再開。うえの先生の情報整理法・帰納的アウトプット法は、「なぜこうすべきか」を情報工学から裏付けられそうです。いつか必ず!

森康博
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
わたしは、わが子の不登校が縁で、不登校の子を持つ「父母の会」にて20数年間、親OBの立場で、わが子の不登校に悩む親御さん達に対する支援に関わってきましたが、そんな関係もあって、親支援を研究の柱に据え、質的調査を進めてまいりましたが、うえの式質的分析法に出会ったことで、今まで見えなかった部分が明らかになるなど、如何に、今までの自分の研究が恣意的に偏ったものであったかが判明し、早い段階で方向転換できたことは、高齢のわたしにとっては幸いでした。

米岡裕美
立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程
私は、息子がアスペルガ―と診断された発達障害児の母親です。発達障害児の母親に何人も話を聞きましたが、恐ろしいほどに彼女たちの夫は育児に関わりません。そんな夫に愛想を尽かしているのですが一様に別れはしません。うえのゼミに出会い、障害児を育てる夫婦関係について当事者研究として取り組み、不安だった私が「言語化すること」により生き生きと自分を取り戻すことができました。道のりは長いけれども、うえの式質的研究に出会い今後はこの分析方法を研究に生かして前へ進みたいです。