第4章 ストーリーテリング

次に必要なのは、分析からアウトプットへの移行である。研究ではすべてのアウトプットは言語でなされる。それは「2次元の要因連関図」を読み解いて、時間軸上の1次元の言語に置き換えることと同じである。これをストーリーテリングという。

1.量の配分をみる

あるカテゴリーにデータが集中しているところとそうでないところがある。データが集中している部分は、語り手が重要視している部分。
→語り手は何を重要だと考えたのか。
語り手はくりかえしがおおい。同じカードが何枚もある。同じことをパスしてはいけない。くりかえしは全部書き取る。くりかえしは、語り手が重要視している主題だと見なすことができる。

2.コンテクスト→脱コンテクスト→再コンテクスト(時系列)

情報処理とはいかなる過程か。聞き取った過程で情報ユニットを収集し(データコレクション)、情報ユニットをいったんバラバラにしたあと(脱コンテクスト化)、カテゴリー化してメタ情報を産出し、さらにチャート化して要因連関図にする(再コンテクスト化)。それを時間軸上に言語化したものが、アウトプットである。

3.要因連関図をニットの編み物と考えよう

要因連関図は二次元平面でできあがっている。それを言語化するとは時間軸を取り入れて、二次元を一次元化することと同じ。要因連関図をニットの編み物と考えよう。編み物の糸をほぐして、平面を一本の糸に変換するには、どこから糸をほぐすかを考えなければならない。要因連関図の言語化には、最初の入り口(entrance)と出口(exit)を見つけよう。
要因連関図を見て矢印がでていくだけで入らないところが入口、矢印が入るだけで出て行かないところが出口。
これをみつけて、ストーリーにする。
※ライフヒストリーならば時系列。出来事の時間的継起に合わせればよい。

4.データに語らせる

論理関係には基本的には下記の3つしかない。それを言語化するには、カテゴリーとカテゴリーとのあいだに、順接、逆接の接続詞を用いればよい。
(1)因果:AゆえにBがある、したがってB
(2)相関:AとともにBがある。
(3)対立:AとはいえBである。

5.ストーリーテリングのルール3点

1.すべてのメタ情報に必ず言及する。
2.1次情報は必要に応じて言及する。
3.すべてのメタ情報間につながりをつくる。
理想は、メタ情報だけでストーリーが語れること。
※はなれザルはむりやりつなげない。つながらない場合は、「一方〜」「ちなみに」などの接続詞で補う。