映画『M』上映会

掲載日: 2015年10月15日

Flyer(PDF形式: 425KB)

日時:2015年11月8日(日)13:00-17:10
会場:立命館大学衣笠キャンパス 充光館301
主催:立命館大学生存学研究センター
参加:参加費無料・申し込み不要

※駐車場・駐輪場がありませんので、公共交通機関をご利用になりご来場願います。

開催趣旨

「M」とはマザーのM、母マルタ・シエラの頭文字のM、そしてペロン派ゲリラ組織のモントネロスの頭文字を意味する。監督、脚本を手がけるニコラス・プリビデラの母マルタは、ニコラスが6歳のとき突然拉致され、そのまま失踪する。

当時アルゼンチン軍事政権は、反体制派とみなす3万人ともいわれる市民への拉致を行ったとされるが、ニコラスの母マルタ同様、多くの真相は明らかにされていない。ニコラスは「行方不明になった母親に関して、国と家族が口をつぐんでいる事態をいったんは受け入れた後、私は母の失踪をめぐる“真”の形跡や痕跡の調査に身を投じた」と語る。

それは、一人の少年が孤独に背負ってきた母の「不在」という現実、沈黙されなければならなかった意味を、アルゼンチンの何千、何万もの孤独な群衆の沈黙の中に見出そうとする監督ニコラスの試みといえよう。マルタの「不在」が、マルタを知る他者の「生」のあり様の中で語られるとき、マルタの「生」の姿が浮かび上がるだろう。それは決して遠いアルゼンチンの話ではなく、日本にいる私たちにも試される「不在」と「記憶」の問題である。

今回上映会を開催するにあたり、日本学術振興会特別研究員である石田智恵氏を講師として招聘する。石田氏は南米アルゼンチンブエノスアイレスの日系社会を主なフィールドとしながら、アルゼンチンを中心とするラテンアメリカ社会と日本やアジアの近現代の中で、人の存在のあり方、その移動と変遷について、多角的な研究を行っている。石田氏からは、アルゼンチンの軍事政権下で起こった惨劇を、世界的/ラテンアメリカ的/アルゼンチン的な時代と社会の文脈から解説いただき、またその後続くアルゼンチン社会での惨劇への「沈黙」について解説いただきながら、会場との質疑応答や議論の場を設ける。

プログラム

13:00〜13:10 企画説明
13:10〜13:40 映画の時代背景説明(同時代の世界、ラテンアメリカ、アルゼンチン)
講師:石田智恵
13:40〜13:45 休憩
13:45〜16:15 映画「M」上映(150分)
16:15〜16:30 休憩
16:30〜16:50 講演 石田智恵
「不在」への沈黙がもたらすもの-アルゼンチン軍事政権下での「失踪者」と「記憶」をめぐって- 
16:50〜17:10 質疑応答および全体討論

【お問い合わせ先】

立命館大学生存学研究センター事務局
TEL: 075-465-8475 FAX: 075-465-8245
E-mail: ars-vive@st.ritsumei.ac.jp