ワークショップ「生命倫理学の歴史を語ること、その陥穽」
日時:2014年6月28日(土) 14時〜17時
会場:立命館大学衣笠キャンパス 創思館1階カンファレンスルーム
主催:日本学術振興会外国人研究者招へい事業、立命館大学生存学研究センター
参加費無料、申し込み不要
※英語-日本語の通訳があります。
逐次通訳:児玉聡(京都大学准教授)
企画趣旨
現代医学がさらに先鋭化し、グローバル世界に展開しつつある今日、生命倫理学はその地歩を確かなものとしている。生命倫理学は既に歴史を作ってきたのであり、その歴史は生命倫理学者自身によって積極的に語られてきた。しかし、その語りは、今日の生命倫理学が必要とする条件や価値観を過去に投影することへと陥りがちである。今日の生命科学・医学による人間生命と身体への介入の利点を担保するのではなく、クリティカルな科学史を書くことはいかにして可能なのか。このワークショップでは、ロンドン大学よりロジャー・クーター教授を迎えて、生命倫理学の歴史を批判的に語りなおすことの意義を検討する。
プログラム
14:00 | 講演1「生命倫理学史とその陥穽」 ロジャー・クーター(ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン教授) 生命倫理学の歴史をたどる試みは、生命倫理学を取り巻くエピステモロジーに基づいた記述にとどまっている。医療倫理学の歴史を書くことが、あるいは医療倫理にかかわる過去を描き出すことが、医学の人道主義の一端を担うことに収まらず、生命倫理学に対してクリティカルな歴史学的まなざしを持つには、どうすべきか。過去20年間における生命倫理学のヒストリオグラフィを検討し、生命倫理学と科学史の可能性を展望する。 |
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14:45 | 講演2「生命倫理学と科学史-日本優生学史の自律性と批判性をめぐって」 松原洋子(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授) 生命倫理学の諸問題を解決する手がかりを過去に探究する試みは、現在の生命倫理学が抱える価値観を投影する遡及主義であってはならない。しかし、その傾向は、現代的な問題を批判する側と擁護する側の双方にみられる。科学史はいかにして、アナクロニズムという罠から抜け出て、その批判的な力を保つことができるのか。「優生学史の語られかた」を題材にとり、生命倫理学との関係における科学史のあり方を問い直す。 |
15:45 | コメント 瀬戸口明久(京都大学人文科学研究所准教授) |
16:05 | ディスカッション |
ロジャー・クーター教授
1948年カナダ出身。1978年、ケンブリッジ大学にてPh.D.取得。その後、マンチェスター大学、イースト・アングリア大学、ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンにて医学史研究に従事。骨相学、整形外科、非正規医療、小児科医療、戦争と医学等に関する研究がある。近年は、医学史に関する叙述方法論、生命倫理学の歴史などに関心を広げている。近著に、Writing History in the Age of Biomedicine (Yale University Press,2013)。
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