生存学研究センター プロジェクト A-1 生存の現代史「労働/生存――外国人労働者をめぐる運動と/の連帯」

掲載日: 2013年12月16日

企画趣旨

イベントチラシ

外国人労働者は、現代社会における「周辺者」「マイノリティ」といった「異なり(におかれる人びと)」を代表するカテゴリーとなっている。彼/彼女らは、労働をめぐる「包摂/排除」のなかで生を営み、生存の技法を生み出し、社会運動や新たな連帯の可能性を模索している。現代における外国人労働者における労働・社会運動・連帯から、「異なり」の生存について考究する。

日時 2014年1月26日(日) 13:00〜17:45(開場:12:45)
会場 立命館大学朱雀キャンパス 多目的室(大)
主催 立命館大学生存学研究センター、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「インクルーシブ社会に向けた支援の<学=実>連環型研究」社会的包摂と支援に関する基礎的研究チーム
共催 立命館大学人間科学研究所、労働問題・不安定生活・保証所得をめぐる国際的研究
参加 事前申し込み不要・参加費無料

プログラム

12:45 開場
13:00 開会・趣旨説明
13:10 中根多惠(名古屋大学大学院/日本学術振興会特別研究員(DC))
「周辺」労働者としての外国人による社会的連帯はいかに可能か――多国籍ユニオニズムにおける動員戦略モデルの解明
14:10 討論(指定発言・質疑応答)
14:50 休憩
15:00 稲葉奈々子(茨城大学)
生存権運動としての空き家占拠――パリの都市雑業層移民の生き抜き戦略からの検討
16:00 討論(指定発言・質疑応答)
16:40 全体討論
17:45 閉会
18:00 情報交換会

指定討論者

  • 橋口昌治(生存学研究センター客員研究員)
  • 濱西栄司(ノートルダム清心女子大学)
  • 岩舘豊(一橋大学大学院・NPOサーベイ研究員)

司会

  • 渡辺克典(生存学研究センター)
  • 中倉智徳(日本学術振興会特別研究員(PD)、生存学研究センター客員研究員)

報告要旨

中根多惠
「周辺」労働者としての外国人による社会的連帯はいかに可能か―多国籍ユニオニズムにおける動員戦略モデルの解明

現代日本の労働市場において「周辺」に位置づけられる外国人労働者は、もはや製造業に就業する労働者だけに限らない。外国人が従事する就業構造のなかでは専門職の外国人たちも不安定な雇用状況と劣悪な労働条件におかれながら労働市場の「周辺」を形成している。本報告ではこうした専門職の外国人就労も含めた「周辺」層に着目しつつ、その社会的連帯が可能になる条件をオルタナティブな労働組合運動に求めようとする。雇用の流動化やグローバル化にともなう労働社会の変動のもとで、従来の労働運動のメインストリームであった企業別労働組合が社会的影響力を失いつつあるなか、とりわけユニオニズム指向型のオルタナティブな労働組合が未組織労働者の組織化に重点をおいてきた。本報告では、外国人語学学校講師の組織化に成功してきた多国籍の個人加盟ユニオン「ゼネラルユニオン」(GU)を対象としたケーススタディをとおして、専門職外国人による労働運動の運動形態とりわけ動員戦略を明らかにする。

稲葉奈々子
生存権運動としての空き家占拠─パリの都市雑業層移民の生き抜き戦略からの検討

日本の貧困をめぐる社会運動は「居場所づくり」や協同組合運動など、福祉国家の積極的な介入を求めず、市民が国家から相対的に自立して生き抜き戦略を構想する傾向がある。公共空間での直接行動により、積極的な国家の介入を求めるフランスとは対照的である。この違いを、パリの都市雑業(清掃、介護、ビル管理など)に従事する移民の空き家占拠を手段として公営住宅への入居を求める運動を例にして、市民社会、国家、経済の関係性が規定する生存権の定義の違いから考察する。基本的には、当該社会で生存権を保障する社会給付が普遍的権利として確立しているのか(西欧)、貧困層だけを対象とするのか(日本)によって、運動の形態は異なると考えられる。西欧においても、普遍的とはいっても「国民の権利」としてみなされがちな生存権を、そこから排除されてきた移民が行使して成功したフランスの運動の例を検討することで、生存権の保障を規定する社会的・制度的要因を明らかにしたい。

問い合わせ先

立命館大学生存学研究センター事務局
TEL: 075-465-8475 FAX: 075-465-8245
E-mail: ars-vive@st.ritsumei.ac.jp

※駐車スペースがございませんので、ご来場の際は公共交通機関をご利用ください。

本企画は文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「インクルーシブ社会に向けた支援の<学=実>連環型研究」の研究成果を広く社会へ発信するものです。