国際ワークショップ: ロックトイン症候群の人びとが経験する対人関係
このワークショップは、「ロックトイン症候群」の人びとの生きられた経験を明らかにするための国際プロジェクトの一部です。
ロックトイン症候群の人びとは、広範な全身麻痺のため、自発的に体を動かすことができません。その結果、呼吸、嚥下、排便などの生理的機能を含め、日常生活動作のほとんどすべてにおいて他者の介助が必要となります。このような状況は、ロックトイン症候群の人びとの生理的欲求の充足と快-不快の情動を、他者との関係性へと直結させることになります。さらに、ロックトイン症候群の人びとは発声が困難なため、コミュニケーションをとるには、文字盤や、他の人が読んだり聞いたりできるテキストや合成音声を生成するコンピューターなど、さまざまな技術や、それを読み取る専門家による支援が必要です。しかし、ロックトイン症候群の人びとの関係世界は、単純に他者やテクノロジーへの“依存”と一言で言い表せるようなものではなく、“依存”という言葉が意味するような相互性の欠如をもたらすものでもありません。むしろそれは、動けないこと、明瞭な発音ができないこと、テクノロジーを利用すること、そしてケアを必要とすることからくる特殊性を伴った、生活におけるすべての関係性をもたらすものについて、認知的・感情的な複雑さを伴うものです。このワークショップの目的は、対人関係の観点からロックトイン症候群の経験を探求し、その特異性をよりよく理解し、各個人の状況においてそれを考察し、あらゆる状況において尊厳が尊重されるための方法を考えることです。本ワークショップでは、ロックトイン症候群当事者、親族、介護者、学術研究者が参加して、互いに理解を深め合います。
日時: | 2024年10月10日 (木) |
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会場: | スペインタラゴナ ロヴィラ・イ・ヴィルジリ大学医療人類学研究センター +オンライン (参加費無料) |
Zoomリンク: | https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/j/96394180035 ミーティングID: 963 9418 0035 |
参加登録: | オンラインフォームによる事前申込 https://forms.gle/UZdJ3SGr3vp4nbhr5 |
第1セッション(司会 姫野友紀子、立命館大学)
16:00 – 16:05 | 開会挨拶 フェルナンド・ビダル (カタロニア高等研究所(ICREA), ロヴィラ・イ・ヴィルジリ大学医療人類学研究センター) |
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16:05 – 16:20 | イントロダクション 姫野友紀子(立命館大学生命科学部、生存学研究所) “ロックトイン症候群の人びとが語る対人関係の認識について” |
16:20 – 17:05 | 基調講演 恩田聖敬(日本ALS協会会長、株式会社まんまる笑店代表取締役社長) “当事者と家族・支援者の関係について~当事者側の考察~” |
17:05 – 17:20 | 休憩 |
第2セッション(司会:フェルナンド・ビダル、ICREA、ロヴィラ・イ・ヴィルジリ大学)
17:20 – 17:40 | アン・ジョンソン(ロックトイン症候群プロジェクトの研究参加者) “私と私の娘との関係” |
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17:40 – 18:00 | アナ・サンタンヘロ(ロヴィラ・イ・ヴィルジリ大学 人類学部 医療人類学 博士課程学生) “ロックトイン症候群の人びとのセクシュアリティ:事例研究” |
18:00 – 18:20 | ルシア・デネグリ・メンデズ(ロヴィラ・イ・ヴィルジリ大学 人類学部 医療人類学、博士課程学生) “それでも変わらない:ロックトイン症候群の語りにおける個人の連続性” |
18:20 – 18:55 | ディスカッション |
18:55 – 19:00 | 閉会挨拶 川口 有美子(ALS/MNDサポートセンターさくら会、立命館大学生存学研究所) |
本ワークショップは 女性研究者国際共同研究活動支援制度(代表:姫野友紀子)、国際共同研究促進プログラム(代表:美馬達哉)の支援を受けて開催します。
共催 立命館大学生存学研究所