開催報告 生存をめぐる制度・政策 連続セミナー「障害/社会」第1回「障害者権利条約の成り立ちと位置づけ」

掲載日: 2014年06月26日

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 立命館大学生存学研究センターは、5月23日(金)、立命館大学朱雀キャンパスにおいて、生存をめぐる制度・政策 連続セミナー「障害/社会」第1回「障害者権利条約の成り立ちと位置づけ」を開催した。

 このセミナーは、「障老病異」のある人びとを研究の対象とする本センターが推進するプロジェクト「生存をめぐる制度・政策」のアウトリーチ活動の一環として企画されたものであり、その第一弾となる今回は、日本における障害学研究の第一人者であり、本センター運営委員でもある長瀬修氏を講師に招いた。

 長瀬氏の講演では、障害者権利条約の批准に関わる世界各国の最新動向や条約交渉の経緯・特徴、条約の主な内容などが、それぞれをめぐる現場事情等もふくめて報告され、障害者権利条約が障害を理由とする差別をなくすための国際的な基準として位置づけられ、条約の項目ごとに障害者の関連制度や政策が比較されることで、各国の障害者制度や政策の整備化が促されている事実が述べられた。また、東日本大震災での障害者死亡率は健常者死亡率の2倍という事実をふまえると、障害者権利条約が障害者の権利を保障する基準として位置づけるためには、未だもってさまざまな課題を抱えていることが指摘された。

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 講演に引き続き行なわれた質疑応答では、コーディネーター役として立岩真也本センター長も登壇し、参加者から寄せられる「国連の障害者の権利委員会に、どのような経過があって知的障害者や精神障害者が参画するようになった」などの質問に対し、長瀬氏との議論を深める形で応対し、そのやり取りに約30名の参加者は熱心に耳を傾けていた。(生存学研究センター)

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