第11回「生存学奨励賞」授賞作が決定しました

掲載日: 2026年01月07日

第11回「生存学奨励賞」について、7名の審査員による厳正な選考の結果、以下のように決定いたしました。

生存学奨励賞 著者:戸田 真里
タイトル:『からだがやぶれる 希少難病 表皮水疱症』
出版社:生活書院

第11回生存学奨励賞講評

本書『からだがやぶれる――希少難病 表皮水疱症』は、生存学奨励賞審査委員会において厳正な審査が行われ、満場一致で生存学奨励賞の受賞が決定しました。受賞理由の第一は、表皮水疱症(EB)という希少難病を、医学・看護・福祉の枠組みからではなく、当事者と家族の「生きられた経験」に根ざした日常の次元から描き出した点にあります。EBの人びとに寄り添い、長期にわたる丁寧な聞き取りを重ねることで、リアルで厚みのあるエスノグラフィー的記述を実現しました。その姿勢は、生存学が重視してきた「障・老・病・異」の現場から思考する態度を体現するものといえます。

第二に、本書は、EBが難病制度の枠内に位置づけられながらも、神経難病を中心に展開してきた政策史のなかで周縁化されてきたことを明らかにしました。EBの人びとの生活上の困難には、制度そのものが生み出してきた側面が複雑に絡み合っていることが、具体的な事例を通して示されています。

以上の点から、本研究は、希少難病をめぐる生活のリアリティを厚みのある記述によって提示するとともに、それを制度批判および実践的提言へと接続した成果として、生存学奨励賞に値するものと判断されました。
次年度も、自薦・他薦を問わず、多くのご応募を期待いたします。

2026年2月
美馬達哉