出生をめぐる倫理研究会

現在、日本では配偶子提供、代理出産などを含む生殖補助医療に関する法整備が検討されており、生殖技術の利用がもたらす倫理的課題の検討が急がれる。本研究会は体外受精、出生前診断、人工妊娠中絶を伴う国内外の生殖補助医療の発達史を検討して倫理的課題を抽出し、現代日本の生命倫理関連法政策の方向性に関する議論を行う。技術の普及と施術の実績をその起点にまでさかのぼり、それ以前あるいは並行する生殖技術や関連政策との思想的親和性などに関する考察から、現代の生殖医療をめぐる倫理的問題を歴史的文脈で捉えた上で、今日の生殖関連の諸言説と立法動向を批判的に検討する。

生殖補助医療というテーマは余剰胚や胎児細胞の研究利用を含むため、本研究会の課題の射程は生存学研究センターの基軸および課題群を複数とらえているだけでなく、それらの連関は多岐かつ密接なものである。一つの技術が人々の生に様々な影響を及ぼしつつ、そうした技術の集合がいかに社会・時代をつくり上げるのかを本研究が実証的に示すことで、本研究会は現代の生殖において「生きて在る」という実践の可能性を探るものである。

プロジェクト名 出生をめぐる倫理研究会
プロジェクト代表者 松原洋子
年度 2014