南・東南アジアにおける障害研究プロジェクト

本プロジェクトは、多様な国家と文化をかかえる南アジアや東南アジアにおける障害者問題について調査に取り組み、同地域における障害者について当事者主体的な「生存」をめぐる課題と支援のあり方について検討することを目指す。南・東南アジアでは、障害者に関する基礎的な統計調査ですら整っておらず、また文化や宗教の多様性に起因するさまざま問題が生じている。障害者をめぐるこういった問題について、障害当事者を中心としたエスノグラフィーや制度・政策にもとづいて研究をおこなう。2013年度は、(1) 南アジアについてはバングラデシュ、(2) 東南アジアについてはヴェトナムにおいて調査をおこなう。

(1) イスラム教を国教とする同国において、女性障害者は障害、女性、貧困などからくる多重の困難に直面している。今年度は、現地の開発援助団体(NGO)や当事者団体の障害者支援の詳細を女性障害者の視点から調査を行う。その上で、障害者支援におけるジェンダー課題を明らかにし、既存の枠組みで行われてきた女性障害者支援の有効性や課題について検討する。

(2) 障害者の福祉制度が整っていないヴェトナムであるが、近年、障害当事者を主体とする生活への取り組みが始まっている。こういった当事者をめぐる活動に関する調査をおこない、ヴェトナムの福祉制度と当事者に関する研究をおこなう。

生存学研究センターでは、すでに韓国などと国際研究セミナーを開催し、海外における障害者に関する研究や情報共有、成果発信をおこなっている。しかしその一方で、南・東南アジアのように福祉制度が整っていない国々の当事者をめぐる研究は不十分であり、本プロジェクトはこういった人びとにアプローチすることで、「障」や「病」に関する基礎研究となり、国際的な研究を促進する効果をもたらす。

プロジェクト名 南・東南アジアにおける障害研究プロジェクト
研究課題 南アジアおよび東南アジアの障害者に関する研究
プロジェクト代表者 渡辺克典
年度 2013