2022年度若手研究者研究力強化型「国際的研究活動」

【前期】

採択研究者 李思航(立命館大学先端総合学術研究科)
研究内容 新婦仔の送り出し地域である長楽市において、実家を探し当てた新婦仔の親や兄弟姉妹への聞き取り調査を行う。そこから、生家がかつて新婦仔として送り出した女児との再会を果たしたことをどのように意味づけ、関係性を再構築していくのかを明らかにする。これまでの調査では、実親のみならず生家に残った兄弟姉妹が新婦仔との再会を目指した事例が確認されている。このように送り出し社会においても、現代の価値基準に沿って、送り出す側から新婦仔との再会を望む機運が生じているため、その実態と背景となる論理を明らかにする。
採択研究者 長谷川唯(立命館大学 生存学研究所)
研究内容 障害者の権利に関する条約(以下、「障害者権利条約」とする。)と障害者の生命倫理の課題を明らかにすることを目的とする。障害を理由とした安楽死は、生命の消滅によって障害の存在を否定しようとする側面があり、障害者を他の者と平等にすることを目的とした障害者権利条約の趣旨に反するものと考えられるべきである。しかし、国連では障害を理由とした安楽死について、ほとんど解釈の蓄積ができていない。2022年8月にジュネーブで予定されている障害者権利条約第1回日本政府審査では、障害を理由とした安楽死の問題に切り込むことが想定されており、蓄積への貢献が期待される。本研究の調査対象は、 (A)市民社会による国連へのロビーイングの過程、(B)国連と日本政府の建設的対話の過程の2つの場面とする。分析方法は、政策過程論におけるカップリング理論とアウトプット理論を用いる。