生存をめぐる制度編成研究プロジェクト

本研究プロジェクトの目的は、「障老病異」をとりまく制度の成立過程を歴史的に検討し、人々の生のあり方を統制する制度と「障老病異」とともにある人々の生存とのせめぎあいを考察することである。本研究プロジェクトでは、制度編成をたんなる法的な体系や政策としてとらえるのではなく、統治体制としての省庁とともにその正統化を担った学術実践、行政や民間をふくめた社会事業体、そしてそれに抗する当事者による団体活動といった多様な組織が連なり/重なる領域として設定する。

本研究プロジェクトは、今年度で3年目をむかえる。今年度は、次の3点を本研究プロジェクトの主たる研究課題とする。

第一に、制度研究における理論的基盤を読書会等で固め、本研究プロジェクトの研究課題群への応用方法を考察する。本年度の読書会では、「障老病異」をめぐる学術実践(医学、教育学、社会福祉学等)に焦点を当てる。

第二に、障害当事者の活動に関する資料のアーカイヴィングとそれに基づく歴史研究を進展させる。本年度は特に、生存学研究所が所蔵する障害者総合情報ネットワーク(略称BEGIN。本申請書では以下「BEGIN」とする)関連資料の整理を進めるとともに、関係者へのインタビュー調査などを通じてBEGINの資料アーカイヴィングの歴史的位置づけを検討する。

第三に、「障老病異」とともにある人々の「生活史」の集積を行う。研究チームメンバー各々の研究課題に応じてフィールド調査を行い、「障老病異」とともにある人々の生存と諸制度との関係を明らかにする。

研究代表者 所属・職位:先端総合学術研究科・教授
氏名:立岩 真也
研究課題 生存をめぐる制度編成研究
チーム名 生存をめぐる制度編成研究プロジェクト