生存をめぐる制度編成研究プロジェクト

生存において困難を抱える人びとに対して、医療、福祉、あるいは教育といったさまざまな制度による取り組みが行われている。この過程において、統治体制や事業体が協調しときに衝突し、あるいは学術的な実践において障害や病を心的または個人的な問題として正統化され、制度編成がすすんできた。私たちの生存のあり方とそれに抗する技法を考える上において、これらの法あるいは制度設計、政策過程において社会や歴史との連関をめぐる研究が課題となっている。

本研究プロジェクトでは、生存に困難を抱える人びととして「障老病異」に関する制度編成に着目し、その社会的・歴史的な形成過程に関する歴史研究をおこなう。本研究では、制度編成をたんなる法的な体系や政策としてとらえるのではなく、統治体制としての行政機関(内務省、厚生省、文部省等)とともに、その正統化を担った学術実践(医学、教育学、社会福祉学等)、中央ならびに地方における民間をふくめた社会事業体、そしてそれに抗する当事者による団体活動といった多様な組織が連なり/重なる領域として設定し、その内部においておこなわれる社会過程のていねいな記述と制度過程における因果関係について探求することを目指す。

研究代表者 渡辺克典
チーム名 生存をめぐる制度編成研究プロジェクト
研究課題 生存をめぐる制度編成の歴史研究とアーカイヴィング集積