後藤 智
私はこれまでデザインマネジメントの観点から、企業組織の従業員一人一人が自分の内主観的な価値観を用いて企業や顧客のあるべき姿を描き出す方法論やそれを実現するための組織文化を研究してきました。日本企業では、従業員が組織に対してアイデンティティを強く同一化させる傾向が伝統的にあります。そのような環境では、従業員が組織の生存目標を優先させてしまい、個人の生存やwell-beingを達成するために働くという視点が失われることが海外の研究から明らかになっています。このような個人の生存やwell-beingの喪失は、デザインにとって最も重要な個人の内主観的なビジョンの顕在化を妨げます。今後は、内主観的なビジョンが企業のデザイン、そしてその先のイノベーションにとって重要であることを研究で明らかにし、従業員がありたい姿と企業の生存を両立を目指します 。
生存学に関連した主な業績
著書
- デザインマネジメント論のビジョンーデザインマネジメント論をより深く学びたい人のために(共著)
- デザインマネジメント研究の潮流2010-2019(共著)
- Innovation of Meaning and Product Service System(単著)
主要論文
- 「探究学習」における課題とデザイン,デザイン科学研究,2,225-242頁(共著)
- デザインにおける考古学のレジリエンスモデル -アーキオロジカル・プロトタイピングの可能性-,デザイン科学研,2,77-104頁(共著)
- ミドルマネジメント向けデザインマネジメント研修プログラムDesign+CORDISモデルの開発,デザイン科学研究, 2,207-224頁(共著)
- 組織のデザイン力の測定ツールDAMの活用報告,デザイン科学研究,2,265-274頁(共著)
- Making the most out of the innovation of meaning: The importance of inclusion for creativity in inside-out envisioning, Creativity and Innovation Management, 32 (2),298-315頁(共著)