岸 政彦

生活史の社会学

これまで沖縄で調査をしてきた。戦後の高度成長期に本土の都市に出稼ぎや集団就職で移動したのちにUターンした人々に焦点を当て、その生活史を分析した。その後、沖縄の階層格差と共同体との関係を質的調査から考察している。現在では、沖縄戦体験者の生活史を聞き取り、戦争体験だけではなくその後の人生の歩みもあわせて記録している。その語りは「戦後沖縄史」そのものである。

さらに、沖縄だけでなく、さまざまな人々の人生の物語に耳を傾けてきた。個人の生活史を通じて、歴史や構造をはるかに見渡すということが私のテーマだ。自らの生活史や質的調査の方法を理論的に基礎づける作業もおこなっている。その事実性、代表性、構築性についてなど、考えなければならない課題は多い。

私たち一人ひとりの個人は、大きな歴史と構造のなかでもがき、苦しみながら、懸命に生きている。生活史の聞き取りを通じて、そうした人生の物語を描きたいと思っている。

生存学に関連した主な業績

主要著作・刊行物

  1. 『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者たち』2013年、ナカニシヤ出版
  2. 『街の人生』2014年、勁草書房
  3. 『断片的なものの社会学』2015年、朝日出版社(紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞)
  4. 『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』丸山里美・石岡丈昇と共著、2016年、有斐閣
  5. 『ビニール傘』2017年、新潮社(第156回芥川賞候補・第30回三島賞候補)

主要論文

  • 「鉤括弧を外すこと──ポスト構築主義社会学の方法論のために」 2015 『現代思想』 2015年7月号 青土社
  • 「量的調査のブラックボックス」 2015 『社会と調査』 第15号 社会調査協会
  • 「錯綜する境界線──沖縄の階層とジェンダー」 2016 『フォーラム現代社会学』 第15号 関西社会学会
  • 「実在と行為──社会学理論ができること」 2017 現代社会学理論研究』 第11号 日本社会学理論学会
  • 「沖縄の語り方を変える」 2017 『社会学評論』 67巻4号 日本社会学会

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