富永 京子

生存の現代史

 専門分野は社会運動論です。社会運動は、社会から排除されている、いわゆる「社会的弱者」と呼ばれる人々が快適に生きるため、生存の権利を得るための活動という側面を強く持っています。しかし、その中ですら人々の生存が脅かされることは数多くあります。雑談のときの言葉遣いや、誰が責任を負う立場に立つかという組織的なことがら、あるいは会議のときのおやつは何にするかといったものまで、ひとつひとつの意思決定の中で「排除」が起こり得ます。とりわけ多様な人々がともに活動するフィールドとして、グローバルな規模を持つ社会運動や、オルター・グローバリゼーション運動といったものがあります。

 私たちはグローバルな運動の中で、日本語を使っても理解できない人や、特定の食材を使った料理が食べられない人に配慮する必要がありますが、多様な人々に配慮すればするほど、運動の目的から遠ざかってしまう可能性も十分にあります。また、作法や規範を徹底することは、そうしたルールを知らない人の参加を妨げることにも繋がってしまいます。このような社会運動をめぐるジレンマの中で、誰に対しても居心地がよく、それでいて閉鎖的・排他的にならないような社会運動の可能性を研究しています。

生存学に関連した主な業績

著書

  • 富永京子, 2016『社会運動のサブカルチャー化――G8サミット抗議行動の経験分析』せりか書房.

主要論文

  • 1) 富永京子, 2013, 「グローバルな運動をめぐる連携のあり方――サミット抗議行動におけるレパートリーの伝達をめぐって――」『フォーラム現代社会学』第13号, pp17-30.
  • 2) 富永京子, 2013, 「社会運動における離脱の意味――脱退、燃え尽き、中断をもたらす運動参加者の人間関係認識――」『ソシオロゴス』第37号, pp170-187.
  • 3) 富永京子, 2014, 「社会運動への参加が人々にもたらす影響――2008年北海道洞爺湖G8サミット抗議行動を事例として」『社会学年誌』第55号, pp67-82.
  • 4) 富永京子, 2014, 「社会運動と『逮捕』――被逮捕者に対するまなざしを通じて」『年報社会学論集』第27号, pp122-133.

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