鎮目 真人
生存をめぐる制度・政策
私の専門分野は社会保障論で、特に年金制度の国際比較を通じて、高齢期の貧困を軽減するためにはどのような年金政策が必要なのかを明らかにすることを目指しています。そのために、各国の年金制度に関して「年金脱貧困化」という指標を構築し、年金制度による貧困軽減効果をクリアに把握したり、年金をベーシック・インカム化する可能性について探っています。制度による脱貧困化を図るには、選挙や国民投票などの民主的プロセスを通じた制度改革が必要になりますが、私の研究では、そうした制度改革の形態やその要因に関する解明も試みています。日本の高齢者の貧困率は単身女性世帯を中心にして高い水準に上っているので、「年金脱貧困化」指標やベーシック・インカムの研究が高齢期の貧困の減少に結びつけば大きな意味があると思います。また、そのような方向へと制度を改善する際に、上で述べたような制度改革に関する理論が役立てれば良いと感じています。
生存学に関連した主な業績
著書
- 鎮目真人(2016)「年金における公私ミックス」松田亮三、鎮目真人編『社会保障の公私ミックス再論』ミネルヴァ書房
- 鎮目真人(2009) 「経済のグローバル化、人口高齢化と年金制度改革―社会民主主義レジームの年金脱貧困化の動向―」下平好博、三重野卓編『グローバル化のなかの福祉社会』ミネルヴァ書房
- 鎮目真人(2008) 「基礎年金制度の類型とその決定要因―ベーシック・インカムとの関係に焦点を当てて―」武川正吾編『シティズンシップとベーシック・インカムの可能性』法律文化社
主要論文
- 鎮目真人(2016)「年金制度改革における政治的言説,新しい政策アイディアの役割 ―現代福祉国家論のリサーチフロンティアとしての一試論―」『季刊社会保障研究』51/ 3・4, 318-336
- Masato Shizume(2015) “Policy Discourse, Framing, and The 2004 Pension Reform in Japan: Rethinking Vice into Virtue theory” , US-CHINA LAW REVIEW, 12/ 1, 1-21
- 鎮目真人(2013)「2004年年金改革における政策アイディア・フレーミングの役割」『日本年金学会誌』32, 150-159