村上潔

生存の現代史

 私の研究範囲を大きくひとことで表すなら、「現代女性思想・運動史」となります。研究の手順としては、まず現代の女性思想/女性運動の各問題領域に、斜めにざっくりと、「労働」という補助線を引きます。そして、その切り口の周辺に見えてくるあれこれを拾い集め、それを材料にして思考を練り上げていきます。簡単にいえば、「女が働く/働かない」ことを、社会がどう捉えて、価値づけて、秩序づけてきたか。そして当の「女たち」は、それに対してどう反発・批判・受容してきたか、ということです。「運動」といっても、「女性労働運動」という枠組みからではなく、「労働をめぐる女性運動」という観点からアプローチしています。そして、「運動」に至らない心性についても検討対象としています。
 こうしたスタンスから、これまで主たる分析対象としてきた存在が「主婦」であり、検討課題ととしてきたのが「主婦」と「労働」の「もつれ」た関係でした。このテーマについては拙著『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』をご参照ください。そして、現在進めている研究については、以前、《研究の現場》(2013年9月1日更新分)で述べましたので、こちらをご参照ください。当センターでは、これまでの「生存の現代史」の構築に向けた取り組みの成果に、「女性」・「労働」・「運動」という要素を(改めて、様々な角度から)絡めてみることで、おもしろいリミックス・ワークを生み出せたらと思っています。[2014年5月5日・記]

生存学に関連した主な業績(2015年10月10日現在)

著書

  1. 「大学非常勤職員のワークライフバランス」研究会(小林千夏・菊地夏野・村上潔・吉田正純),2014,『大学×非正規×女性の〈貧困〉を問う――京都大学非常勤職員の実態調査報告』(研究報告書).
  2. 村上潔,2012,『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』洛北出版.
  3. 天田城介・村上潔・山本崇記編,2012,『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』ハーベスト社.
  4. 立岩真也・村上潔,2011,『家族性分業論前哨』生活書院.
  5. 「高度成長期」研究会編,2007,『「高度成長」再論』科学研究費助成事業・基盤研究(B)「分配と支援の未来」(代表:立岩真也)2006年度報告書,<分配と支援の未来>刊行委員会.*改装版:2015

論文(2013年以降)

  1. 村上潔,2014,「京都の女性運動と「文化」 第3回(全3回)――1990年代、リブとして生き続けることの模索」Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2014年9月26日更新.
  2. 村上潔,2014,「京都の女性運動と「文化」 第2回(全3回)――〈シャンバラ〉以後、1980年代のリブ運動」Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2014年7月8日更新.
  3. 村上潔,2014,「京都の女性運動と「文化」 第1回(全3回):序論――女のスペース〈シャンバラ〉の活動から」Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団)2014年5月5日更新.
  4. 村上潔,2013,「「三十娘」の利害と「家」の瓦解――資源と威厳の確保をめぐって」『現代思想』41-12(2013-09): 180-191.
  5. 村上潔,2013,「女の領地戦――始原の資源を取り戻す」立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.6』生活書院,379-393.
  6. 村上潔,2013,「主婦は防衛する――暮らし・子ども・自然」現代理論研究会編『被曝社会年報 #01――2012-2013』新評論,150-175.

メディア掲載(2015年以降)

  1. 「人間疎外状況を鋭く表現――別府文学サークルの同人誌「文礫」|池田美代子さんの詩を題材に|立命館大学の准教授がトーク」(『今日新聞』2015年9月28日3面)

関連リンク

arsvi.com 「生存学」創生拠点

書庫利用案内

「生存学」創生拠点パンフレットダウンロードページへ

「生存学奨励賞」

立命館大学大学院先端総合学術研究科

立命館大学人間科学研究所

立命館大学

ボーフム障害学センター(BODYS)

フェイスブック:立命館大学生存学研究所

生存学研究所のTwitterを読む