無縁社会の生き方を考える
現在、地縁・血縁・社縁といった様々な人間関係が希薄化したり遮断されたりした社会状況を表す言葉として「無縁社会」という言葉がよく使われています。この言葉は、社会の中で様々な人間関係を持ちたいと考えながらも関係を作ることができない人が多くいることを示しています。無縁社会という問題を考える場合、孤立した「当事者」が生きることにおいて何を望んでいるのか。なぜ、「当事者」達が、(孤立しない生活よりも)孤立する生活を選択しているのか、もしくは選択しなければならないのかを考える必要があります。
この問題の解決策の一つとして、「まちの居場所」、「まちの縁側」、「コミュニティ・カフェ」などと呼ばれる誰でも気軽に集まることができる場所が注目を集め始めています。私はこういった場所を調査するために、本学産業社会学部の学生や京都市民の方と一緒に「つながるKYOTOプロジェクト」というプロジェクトを立ち上げ、京都市及び京都市未来まちづくり100人委員会のサポートを受け活動しました。その後、2011年3月5日に「”脱”無縁社会シンポジウム〜まちの縁側/地域の居場所の挑戦〜」を開催し、そのプロジェクトでの調査結果を発表しました。
具体的には、京都市内にある居場所の事例や利用者はどのような人かなどについて報告しました。居場所の運営者には女性が多く、男性が会長などの要職に就き運営していく地域福祉のあり様とは一線を画しています。地域福祉の実践と居場所が共存できれば、今後の福祉がより発展できるのではないかと私は考えています。今後は、地域福祉の実践と居場所の共存の可能性がどのようなものであるかを検討したり、また共存の事例などを調査し、効果を明らかにしていきたいと思います。
今回調査を行った居場所については、「人と人とをつなぐ まちの縁側マップ11’京都版」を2011年3月に発行し、紹介しています。この資料はメディアなどでも取り上げていただき、市民の方や行政の方などから多数の問い合わせがありました。その中には、私の知らなかった居場所など今後の調査においても有意義になるものが多くありました。今回の調査や発表は改めて、私にとっても人と人との「つながり」の重要性を感じました。
この場をかりて、「”脱”無縁社会シンポジウム〜まちの縁側/地域の居場所の挑戦〜」及び「人と人とをつなぐ まちの縁側マップ11’京都版」に関わっていただいた全ての方に感謝の言葉を述べさせていただきます。