合評会『病いの会話 ネパールで糖尿病を共に生きる』

掲載日: 2022年07月05日

医療社会学研究会主催合評会(立命館大学生存学研究所共催)
『病いの会話 ネパールで糖尿病を共に生きる』
(中村友香著、京都大学学術出版会、2022年)

  • 著書紹介
    中村友香(筑波大学人文社会系助教)
  • コメンテーター1
    本間三恵子(埼玉県立大学健康開発学科准教授)
  • コメンテーター2
    高橋花子(立命館大学先端総合学術研究科院生)
  • 指定質問
    柏崎郁子(立命館大学先端総合学術研究科院生)
  • 司会進行
    美馬達哉(立命館大学先端総合学術研究科)

日時:8月26日(金)15:00~18:00 (その後20時まで関係者研究打ち合わせ)
場所:龍谷大学大阪梅田キャンパス(梅田ヒルトンプラザウェスト14階)研修室

QRコードハイブリッド開催ですので、Zoomで参加の方は、当日、以下からお入りいただけます。
https://us02web.zoom.us/j/87657447795?pwd=G7eaDpTVg-o0um4zLByf9CCoclso38.1
ミーティングID: 876 5744 7795
パスコード: 957253

趣旨

医療社会学研究会で、中村友香氏の『病いの会話 ネパールで糖尿病を共に生きる』(京都大学学術出版会、2022年)を対象とする合評会を行います。本書は、ネパールでのフィールドワークに基づいて、「糖尿病(シュガー)」をめぐって/ときには糖尿病と無関係に繰り広げられる会話を分厚く記述した医療人類学のエスノグラフィーです。
本書で描かれた糖尿病は、生物医学的に定義された「インスリン作用の不足による高血糖」とは大きく違います。それは、本人、家族、おせっかいな(?)隣人、クリニックの医療者、薬局の医療者、専門病院の医療者、アーユルヴェーダ医療者のそれぞれによって、異なりつつも部分的に重なり合うやり方で生きられている多重的な存在です。
ネパールの糖尿病が、個々人の説明モデルや信念や病気行動ではなく、人々の「間」やコミュニティでの生活実践から生成することを、著者は「病いの会話」と表現しました。「病いの語り」でも「病いを主題とする会話」でもなく、ポリフォニー的な「病いの会話」とは何でしょうか。
合評会でも、そのあたりを議論していきたいと思います。

合評会では、最初に中村氏からネパールの紹介を含めて著書の内容の簡単な紹介(30-40分)をいただきます。続いて、線維筋痛症の「語り」を医療社会学的に研究している本間氏からのコメント、生物医学的な小児糖尿病の看護に関わりつつ人文社会系の研究をしている高橋氏からのコメントを、それぞれ30分程度いただきます。それらのコメントに対する著者の中村氏からのリプライを受けたうえで、参加者との議論を深めます。

著者:中村友香(なかむら ゆか)

筑波大学人文社会系助教。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て2022年より現職。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。第10回育志賞を受賞。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て2021年より現職。

著書概要(出版社HP)

「なんて無知で無教育な人々か」――阿鼻叫喚の病院の待合室,「完全にすれ違った」医師と患者/家族のやりとり,処方も指導も守らない人々が繰り広げる病いをめぐる「脈絡のない」会話――本書に描かれる事例を,ネパールの身体/社会文化に関する予備知識なく読んだ途端,あなたはそう思うだろう。しかしそれは違う。人々にとって痛く辛い経験は,科学の知識体系や検査数値とはまた別にある。理解し難いその態度は,身体の経験を,〈不器用な〉配慮の中で,皆とひたすら共有しようとする生活実践なのだ。生物医療が急速かつ無秩序に導入された国で,人々が,「共に生き共に死んできた」間身体的な生き方に,COVID-19下の私たちが何を学べるか。医療人類学の挑戦。