質疑応答

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中国(座長:邱大昕)

質疑応答


(邱)ありがとうございます。時間はちょうどでしたね。4名の方の素晴らしいご発表、ありがとうございました。中国の現状を含めて、直面している問題点も披露していただきました。今回、集まった目的でもあります。過去を含めて、家父長制や社会の問題など、直面している共通の問題、課題を語っていただきました。権利条約が直面している挑戦や障害も皆さんに提起され、共通の問題について考える機会を与えていただきました。
それでは、質疑応答に入りたいと思います。
(フロア)よろしくお願いいたします。皆さんの報告を大変興味深く拝聴いたしました。私は黄裔さんに一つ質問があります。
大変盛りだくさんな内容だったものですから、法律方面に明るくないもので、まだ完全には飲み込めていないのですが、スライドでいうと8番目と最後のまとめ12番目、13番目に関する質問です。
スライド8と12、13を見比べてみると、スライド8で指摘されていた部分が、まとめの段になると抜け落ちているようなのですが、それはなぜなのでしょうか。特に興味深く拝読しましたが、黄裔さんの丹念なインタビューによってこそ聴き取れたリアルな声であると思いますが、それがまとめの段で繰り返し提起されなかったのはどういった理由でしょうか。よろしくお願いいたします。
(黄裔)ご質問ありがとうございます。重複していない理由ですが、8ページは、主に現行の後見制度が直面している困難な状況です。衝突が起きているというジレンマがありました。なぜ後で繰り返さなかったのかというと、条約第12条によると、後見制度は廃止すべきだということでした。その要求に基づき、後見制度の問題は、支援付き意思決定の仕組みでもって解決するということです。これをどのように設計するか。できれば、支援付きの意思決定の仕組みがあれば、今のこの問題もついでに解決されるのではないかということです。後見制度、つまり代替的な意思決定制度が、もし廃止されるのであれば、それを完備する必要もありません。それを廃止することで、代替的な意思決定の代わりに支援付き意思決定制度になるということになります。
(邱) これについて、何か他の補足はありますでしょうか。他のご質問はいかがでしょうか。
(フロア) 皆さん、こんにちは。台北から参りました。私も黄裔さんにお聞きします。
テクニックの部分についてですが、2ページに書いてあるインタビューを行ったことについて、もう少し詳しく教えていただけますか。インタビューを受けた方の特質や対象者の人数などをもう少し詳しく教えていただけますか。
(黄裔) 研究方法については、今模索中です。大きな背景としましては、障害者の社会的背景の中で、研究は”emancipatory research”として非障害者の声だけではなく、障害者の声も含めて研究して欲しいということがありました。ですので、その原則にのっとって、社会研究をさせていただきました。
研究方法はその意味で、障害者、弁護士も含めた法曹者、家族、後見人、ソーシャルワーカー、住民委員会なども参加されています。障害者は少ないですが、結局選ばれた30名の中から23名受けていただきました。23名の選定の基準ですが、それぞれ違う機構で、まず名前を出して欲しいということで応募していただきます。また、違う障害に分けて応募していただきました。知的障害者、精神障害者の数も多い方です。視覚障害者、聴覚障害者は比較的少ないですが、参加はしています。合わせて23名は多くないかもしれませんが、リソース(時間、資源)が限られていたということがありました。
当時のターゲットとしては、必ずしも23名に代表されるとは思っていませんが、自らの体験を通して問題を発見し、それを見つけてもらうということです。本人が参加するというやり方です。今まではないとは思ってはいませんが、非常に少なかったと思います。問題点を洗い出す、発見するというのが目標でした。
また、障害者の家族(後見人)も16人参加していました。最初は14人でしたが、2人増えたのは、高齢者の後見人でした。高齢者も後見下に置かれていたということに気付きましたから、2人追加したわけです。合わせて16名でした。
ソーシャルワーカーは15人いました。ふるいに掛けた基準ですが、現地のソーシャルワーカーの機構と連絡を取り、提供されているサービスの機構から選別しました。また、コミュニティの状況、背景を参考にして選びました。ほぼ半分の参加者は、古いコミュニティから来ています。また、お互いお知り合いです。あと半分は新しいコミュニティからの方で、お互いのことをあまりご存じではない。このようにしたことで、違う社会状況を反映できるかと思います。後見人になる権利を持っている方たちの見方を包括的に見られると思っています。
法曹界は4名ずつ。それから裁判官です。裁判官も資料に基づいて、判決などを見ました。また、裁判官と直接連絡を取りました。弁護士も、商法や商事関連の弁護士ですが、関連の判例もある公益弁護士を選びました。
目的としましては、初歩的な問題を見つけることがありました。統計学的には、代表的ではないかもしれません。
ありがとうございました。
(フロア) 先ほどのご報告の中で、マクロ的な視点から言語的な壁など、いろいろな障壁を紹介されましたが、中国の障害者連合会という大きなシステムを、どのようにこれから変えていこうとしていますか。
(黄雪涛) 私個人は、平等正義イニシャティブをつくった当初、自分自身も93年から、弁護士になりました。会社法を専門としています。法律自体、自主権、自己管理、自治、委託といった基本的な法律、実施面です。グローバル的な協力ができていると言いましょうか、グローバルな機構などです。ただ、この中で自治と委託は、国際的な協力モデルを築くことは難しいです。特に人権は、人の自治権を取り消せるという話題だけでも、私にとってショックの大きいことでした。
2006年から注目をし始め、精神衛生法に入り、どのように精神病院に送れるかというところから着手しました。精神衛生法の立法にも介入しました。これは中国で2013年に公布されてから、一部では機構の投資の話題に注目しました。今、中国はお金を持っており、政府は福祉にお金を使えるようになったのですが、3000ベッドを持つ機構はつくれますが2013年、2014年、われわれの平等正義イニシャティブは、まず機構問題に注目しました。立法問題はあっという間に仕上がり、サポート機構がまだ出来上がっていない中で、非常に準備不足でした。全国の立法プロセスはなかなか待ってくれず、われわれはどうしようもできません。立法段階に入ってしまいました。他の仕事を捨てて、立法の議定に入らなければいけないことになりました。その中で台湾、韓国など、2014年から2015年にかけて、新しい後見制度ができたということに、われわれは気付きました。不完全な後見制度が、中国ではもう発生しているかも入れません。中国では、新しい、もっと完備された成年後見制度が来年公布されるかもしれません。逃げられないような代替的な意思決定モデルが、来年にできてしまうかもしれません。見たくないような将来が待っているかもしれません。本当に準備不足の中でも介入しなければならないという、つらい立場です。以上のような考えです。
(陳) 私も一つ、黄さんのお話に付け加えたいのですが、中国では、平等正義イニシャティブがどのように働くかということです。中国大陸に、デモなどをする空間はありません。こういったNGOが政策策定や政策の修正に関わっているということはあります。
ここで紹介したいのは、訴訟です。何か事件で、法的な穴が見つかった場合、それを解決するために訴訟をしたり、メディアが報道したりします。そして、みんなで議論します。今までは訴訟が唯一の手段でした。現在、こういった方法はだんだん縮小されています。
もう一つの方法ですが、2011年、中国大陸の精神病の患者の収容に関する民間の報道がありました。民間の報道は、この分野に関しては非常に珍しいです。第一に報道するのはみんな避けたがるのですが、この役割は大きく、反響が大きかったです。立法者はメディア報道の中でその問題を見てフィードバックしました。
ですので訴訟という形、もう一つは研究、もしくはメディアの報道、こういう形でやっています。
また、民法に関しても、学者と協力していきたいと思います。民法学者の小さな話ではなく、私たちが同盟で結び付き、より多くのサポーターを得て、もっと寛容的に、空間ももっと広げていきたいと思っています。
(邱) ありがとうございます。他にご質問はありますか。
(フロア) 社会福祉士です。中国は2012年12月の改正で高齢者権益保障法に任意後見の規定を入れたのですよね。皆さん、ご存じかどうかですが、もし存じておられるようであれば、なぜ高齢者だけ入れて、障害者の権益保護法には入れなかったのでしょうか。また、これが出来たことによって、どのような影響が出ているのでしょうか。あと、実績はどうなっているのかといった辺りのことがもし分かれば。
後見についての議論は、一部の学者の方々が随分前からやっておられます。一時期、民法改正するという案なども作られた経緯もあるようですが、それも立ち消えになってしまった状況でもあったようです。少なくともこれから障害者権利条約の政府報告に対する国連の勧告で、中国の場合、意思決定支援の変更については、よその国とは違って「urge」という言葉を使っています。よその国は、「recommend」と言っています。そういう辺り、かなり真剣に国連への対応を考えなければいけない時期ではないかと思うのですが、具体的にどうなっているのでしょうか。
(黄雪涛) では私から。私の理解が正しいか分かりませんが、高齢者の権利に関しては、この話題は素晴らしいと思います。
私が知っているのは、日本も中国も高齢者社会に入っています。こうした高齢者社会というのは、非常に深刻な状態です。影響力で言うと、非常に大切な力であると思います。そして、人権に関して、非常に面白く新しい話題であると思います。この話題は、皆さんで共に考えるべきことです。老人を障害者の輪に入れ、サポートを得るというのも良い考えだと思います。また、成年後見制度の改革にも力を貸してもらうといったことも良い考えだと思います。
後見人の制度ですが、新しく増えたのは、完全な行為能力の中で、自分の未来の代わりに事前に準備する。こういった事前の任意後見人制度が構想としてありますが、新しい高齢者の立法の中ではまだまだ不足しているのではないかと思います。
行為能力が完全にある人のみが委託できると思います。制限された人は、委託の能力も喪失しています。自分の信頼で権限を委譲する。中国の老人の権利に関する進歩、発展は、まだまだ不十分だと思います。この条約と関連した民法の改革に関して、行為制限者に関する権利を委譲する力をもっと増やしていくべきだと思います。少しずつ、中国の法律も発展はしていますが、まだまだ不十分だと思います。この条約に関しても、中国国内では、まだまだ法律面で改革途上であると言えます。
本会の学者は若い方が多いです。この問題に関心を持っていらっしゃる方は少ないかもしれません。国内に帰って、これからも研究を進めていきたいと思います。
(邱) 他の質問はありますか。
(宋颂) 私がもともと発表する予定だったのですが、申し訳ありません。さまざまな問題があり、発表することができませんでした。ですので、この時間をお借りして、私の観点についてご紹介したいと思います。
私がもともと発表しようと思っていた内容は、中国の知的障害者、精神障害者の問題についてでした。私が所属している機関は、全国的な協会で、後見に関して業務を行っています。
私の観点は、主に知的障害者が対象です。深い意味では、中国の法律制度が政治に関わっている部分はあるかと思います。先ほどご提示された内容については、皆さんもより深い情報をお持ちかと思いますが、今、できれば政治は避け、法律の観点に立ち帰りたいと思います。
法律の観点から言えば、現在、中国には法律はありません。民法の総則の中で、あるいは高齢者権益保障法の中で条例を設けているだけです。立法や司法においては、立ち後れています。これは私の見方の一つです。ですので、勉強したいという気持ちでもって、今回のセミナーに参加させていただきました。
先ほどお聞きした中でもありましたが、今、中国では民法の総則の立法を進めているところです。もともとの計画ですと、来年(2017年)2月くらいには、総則の草案は人民大会に審議提出される予定です。来年の上半期になると、会議に提示され、採択される予定です。元の予定が通ればそうなります。つまり時間的に余裕がありません。特に民法会の学者の方々、弁護士の方々、東アジアの関係者の方を含めて、できれば中国大陸で、こういった成年後見をめぐるセミナーを開くことができればと考えています。それによって影響を与えられたらと考えています。そういう意味で、そういった意思疎通が必要です。意見交換が非常に効果的であり、必要であると考えています。また、付随的な観点ですが、中国は現段階では、皆さんから学びたいことがたくさんあります。
2番目ですが、具体的な知的障害、精神障害になると、現在中国の代替的な意思決定制度では、今現在の手法では、あまり実行できていません。できていない理由は、まず精神障害を持っている方に対して後見の権利を実行している中で、多くの問題にぶつかっているわけです。先ほど、皆さんがおっしゃったような問題があります。もっと大事なのは、彼らが、もし何か利益の衝突が生じた場合、被後見人の利益を侵害してしまいがちです。また、責任を果たさないといけないとき、逃げる場合もあります。その制度を実行するのに、いろいろな問題があるわけです。
今、中国では、組織でもって後見するケースは、実は少ないのです。法律では規定があります。村民委員会や住民委員会といった末端の組織は資格を持っているのですが、実際に行われているケースを見たことがありません。実際は、規定がありながら効果的に実施されていないのが現状です。
多くの問題がありますが、一つの実例です。今年の5、6月でしょうか、中国西安のある大学の先生には知的障害の息子さんがおられました。その先生が亡くなりましたが、自閉症の子供を誰も見てくれません。名義上はお父さんが後見人ですが、実際的には離婚しているので見てくれていません。NGOなどの機構は、後見人になる権利を持っていません。現在の状況は非常に悪いわけです。これは実際に起きているケースの一つです。
その中で感じるのは、多くの知的障害者についての保護者制度やサービス機構など組織はあるので、できればその人たちを前面に出して、政府に働きかけ、生活面で援助、サポートしていただけたらどうでしょう。立法という制度がありながら、効果的に施行されていません。保護者制度、サービス機構も含めて、いろいろな支援協会も、サポート的な仕事をしたいという自主的な意識を持っていらっしゃいます。ケース・バイ・ケースで、支援救助措置も執られていたり、平等正義イニシャティブもされている場合もあります。総じて言えば、今見てきた中で、中国の立法は欠けている部分があります。よくできておりません。今現在、この分野においても非常に大きな問題が山積しています。
いわゆる支援付き意思決定の潜在的な支援者、機構も、意識は出来上がっているわけですが、まだ完全に運用されていないというのが現状です。
(邱) 宋颂先生、ありがとうございました。他に何かご質問はありませんか。あと、数分ありますので。
(フロア) 今のご説明ありがとうございました。私は前から中国の状況を少しずつ勉強しているのですが、その中で、例えば「社区」の役割や、遺言の前、扶養扶助の「贍養」という仕組みがありますね。ああいったものが、意思決定支援の母体になり得るのではないのかと思っています。ああいうものを、真剣に良い制度にする工夫をする動きはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
(黄雪涛) 私の方でお答えしてよろしいでしょうか。高齢者の介護の問題と成年後見問題の両者の間には、確かに、人権保障を家庭の責任として組み込まれるという点で共通点があるかと思います。共通している部分としては、個人に対する生存を支えることです。これは社会的な責任なのか、家庭の責任なのかということです。どうしても一人で生きていけない場合、誰が責任を持って、この方を支えられるのか。その最低限のところが社会なのか、家庭なのか。これは東洋の国では、よく聞かれる問題です。
中国政府の答えとしては、東洋の家庭の特色であると。つまり家庭が担う責任であって、社会には担って欲しくないというのが東洋的な考え方だと、多くの人権条約の対話の場において政府は答えています。成年後見の問題もそうです。誰が責任を持って、誰が権利を持って支えられるのか。能力のない人、欠けている人が出てきた場合、誰が責任を持って、それを埋めることができるのかについては、同じ答えになるかと思います。それは親戚、家族なのか。あるいは社会責任なのでしょうか。社会のコミットメントなのでしょうか。
これは先ほど言った、代替的意思決定と支援付き意思決定との区別ではないかと思っています。一人暮らしの老人が餓死寸前の段階になったとき、家族にしか権利はないと言えるでしょうか。そこと共通している部分があるかと思います。高齢者も子供も含めて、両親が健在の場合、孤児ではない限り、家族だけの責任なのか、社会も介入できるかということとも言えます。人権という問題は、政府のコミットメントなのか、家族のみが権利を持っているのかということです。権利と責任は、実は同じ概念だと思います。以上です。
(フロア) 中国から参りました。平等正義イニシャティブの黄先生にお伺いします。先ほど日本の方がおっしゃいましたが、高齢者の扶養の問題、コミュニティのサポートの問題についてです。
中国人の高齢者の権利保障法について、特に1章設けている養老の問題についてです。これは家族で請け負わなければならないと。財政からのサポートをする。それから東部の発展している地域は、多くの資金を投入、サポートをしています。緊急用の電話を引いています。一人暮らしの独居老人に関しても、コミュニティが多くの活動をしており、サポートをしています。
今回の後見制度セミナーに関する問題としては、民法総則を改定するということがありますが、その草案に関しては、インターネットで意見が出されているのを見ました。どの人も成年であれば、民事能力が制限されている人に関して、子女、家族が扶養の義務を負います。改定後の草案では、高齢者の扶養に関する、権利に関する部分については、縮小されているように思います。両親が行為能力を制限された場合、もしくは亡くなった場合、子供たちが扶養する義務を負わなければなりません。しかし、中国は、保護に関する体系がまだまだ未発達であると思います。意識はしっかりありますが、行為能力はなくなってしまい、安定した経済能力もなくなってしまうといった状況になった場合、民事行為能力が全てなくなったと言えます。そうした場合、どうやって経済的な支援をしていくのか。それが草案から削除されてしまっています。以上、補足として申し上げます。ありがとうございました。
(邱) では、時間が来ましたので、他にご質問があるようでしたら、また時間をとりましてご質問していただければと思います。ありがとうございました。

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