障害者権利条約に基づく変革を 阻害するものと戦術的分析

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中国(座長:邱大昕)

障害者権利条約に基づく変革を
阻害するものと戦術的分析

黄雪涛(平等正義イニシャティブ:EJI会長)


皆さん、こんにちは。本日はこのような機会を頂き、東アジアの皆さまと交流ができますことを大変うれしく思います。日本、台湾、韓国、香港の皆さまとご一緒できますことをうれしく思います。つまり、東アジア文化圏の皆さまと討議をできますことを大変光栄に思います。
資料の最後のページをご覧ください。東アジアの家父長制度の合法性、正統性について、われわれは挑戦していこうではないかということからお話ししたいと思います。
第12条の実行に関しては、われわれは方式転換しなければなりません。つまり、あるチャレンジをしなければならないのです。私はずっと、どのような形でこれをお話しすべきかを考えてきました。先ほど何名かの方が、既に具体的なやり方についてお話しされました。ですので、ここでお話ししようと思うのは、どのようにして真実性を持たせるのか、この方式転換をどのようにして成功させるのか、実現するのかについてです。
中国大陸の状況については、他の皆さまの状況とは違うように思います。例えば、貧富の差や地域間の差が、中国大陸の場合は非常に大きいのです。ですので、皆さまとこれを共有しても仕方ないかなと考えることもあります。そのため、皆さまと共に討議できるような内容を選びたいと思います。
この場をお借りして、日中韓台の四つの地域に共通のことについてお話ししたいと思います。ですので、あまりにも中国的であることについては、ごくごく簡単に触れるにとどめたいと思います。できるだけ東アジア全体の問題として、われわれが共通に直面している問題についてと、どのような修正ができるのかということをお話ししましょう。
まず、後見制度について、どのような段階にあるのかについてです。法律的な枠組みの中で見ると、ローマ法時代にさかのぼります。中国本土では次第にこれが始まり、だんだんと福祉モデルへの変更がされ発展していきます。
中国の福祉モデルは、まだ初期段階にあると思います。薬のお金や後見人に関する報酬についても、まだ制度が整っていません。後見人が1年間に何も間違いがなかったら200元だけあげましょうという、たったそれだけの福祉制度なのです。自分の家の者をしっかりと後見するのであれば、幾らか報酬を与えましょうという感じです。
ですので、中国は今、政府が一部のお金を負担するような、ちょっとした福祉モデルが出来上がっていると言えます。それ以前、ローマ法の時代については、非常に遅れていたと言えます。こういった状況があり、今、条約第12条を守りましょうといった段階に進みつつあります。遅れた状況から条約を守りましょうということになるので、非常に大きな挑戦をしているわけです。
では、何について討議するかということで、以下を掲げました。まず、言葉の壁、言説の壁、文化の壁、政治的慣習、市民社会の発展状況、障害。そして、最も大きな問題は法曹界における挑戦です。このような内容に沿ってお話ししたいと思います。時間の関係で一部省略することもあるかと思います。
まず言葉の壁、英語の問題があります。多くの資料、データは、ほとんど英語でできています。これを中国語に直すには、非常に多くの仕事量が発生するわけです。ですので言語の壁というのは、非常に大きな壁です。例えば、このようなシンポジウムを開催するに当たっても、さまざまな言語が存在します。これも言葉の壁となって存在しています。
次に言説の壁です。例えば、生物医学用語や、啓蒙時代の話し方など、どのような文脈で話すのかという壁があります。また、哲学的なことを言う人もいます。新たな哲学が後見制度に関して生まれているのです。哲学者というのは、医学や宗教など、さまざまな知識を動員して話すわけです。けれど、このような大きな範囲で話をする人が、後見制度という非常にマイナーな問題について注目するということは、哲学と後見制度というのは、ギャップが大きいのです。つまり、関心を持つ人との間に非常にギャップがあります。
どのようにして、後見の問題に関与していくのかというのも、また一つの障害であるわけです。いかにして専門家がここに介入していくのか。非常に専門的な知識だけではなく、どのような方法、手段が必要なのかを考えなければなりません。
また、各分野の学者たちの間での連携が取れていません。例えば、中国は今、民法改革の時代を迎えていますが、私たちの相手になるのは民法学者であるわけです。これもまた一つの壁となっています。
そして、法式の転換があります。公共面、社会の面、個人の面など多くの多元的な問題に直面していかなければなりません。つまり、非常に多くの分野にわたっているわけです。ですので、私たちがやらなければならない作業量は膨大なものになります。
文化の壁もあります。文化の衝突。東アジアでは、今、代行モデルが普及しています。これは、家庭・家族を重視します。私・家を中心とした、一種の集合形態を成すような歴史、習慣といったものが立法に影響しているのです。つまり、家と国が一体化したようなモデルと言えます。
先ほど、黄裔さんが、この面についてはたくさんお話しされたと思いますので、私はさらっと触れておくだけにとどめます。
西洋の法律と文化は、非常に密接に関係しています。こうした西洋のものを中国に持ってくる、つまり東洋的な体系の中に西洋のものを持ってくる。実に文化に関しましては、話し始めると切りがありません。
次に、政治的な慣習があります。今、ここにはさまざまな地域の方がいらっしゃいますが、中国は民主的ではない、法治国家ではないといった考えをお持ちの方もいるかもしれません。つまり、行政が主導するような、家父長制度風の政治がなされているわけです。社会全体において、家父長制度の影響がまん延しており、これが政治にも影響しているのです。
また、一般人は、公共分野において行為能力のない人と思われています。中国の法律制度では、裁判官も行為能力については判断ができません。人が独立して考える能力があるのかどうかを判断する能力がどこにあるのかというのは、中国にとって大きな課題です。これに関しては、公共社会と言っても、やや忌避するような雰囲気があります。
しかし一方で、それに関するニーズもあります。人権の問題についても、中国では禁忌、タブーとされています。これは西洋からやってきた何かの陰謀であると思っている人もいます。また、市民社会というのは、もはやタブーとなりつつあります。市民社会という言葉自体が非常にデリケートに扱われる話題となっています。
次に、市民社会の発展についてですが、これは遅れています。台湾と比べると、非常に台湾をうらやましく思います。民間団体もあまりありません。先ほど、高薇さんがおっしゃいましたが、障害者連合会というのはありますが、GONGOといって、NGOの一種ではありますが、政府のコントロール下にあります。国際的には民間組織と言われますが、実際には、政府の機構に過ぎないわけです。結社の自由に関しても、非常に厳格に規制されていますから、民間の力を動員することに関して厳しい面があります。また、域外からの支援を非常に敵視する習慣もあります。つまり排他的なのです。
成人後見制度に関連する障害者団体も、まだまだ成熟していません。保護者、精神障害者、知的障害者といった人たちを中心としたものは、存在するにはしますが、非常に初歩的な問題しか話すことはできません。つまり医学的な見地から自分の障害にレッテルを貼ってしまうことがあります。医学を重視しているのです。例えば、医学の見地から、精神障害、精神分裂の二つをしっかりと分けることによって、自分は決して変な病気ではないですよと、あえてレッテルを貼ることをしています。
最後は法曹界に関してです。法曹界が、実際のところ最も大きな障害となっています。ここは非常に頑固です。われわれの法式を変更するといった面においては、特に中国の民法学者は最も扱いにくい人たちです。ですので、私は中国の民法学界を敵だと思っています。
中国大陸の法律体系は、権利条約を受け入れることを拒否し、理解することすら拒否しているのです。つまり、自分たちとは関係ない、西洋の、国外の法律体系であると理解しているのです。中国の民法学省は、ドイツ、フランス、台湾、日本といった一部の国の法律しか参考にしようとしないのです。権利条約に関しては、全く眼中にないといった感じです。
刑法の学者の方が、条約についてはまだ勉強しています。精神病については、刑法学者の方が、より勉強しています。民法学者は勉強していません。この話題に触れようとすらしません。人権派の弁護士も、刑事事件だけが人権案件だと思っているのです。民法学者もまたしかりです。ですので裁判官にしろ、弁護士にしろ、法曹界はこの分野に関しては全く関心を示していません。つまり、権利条約を拒否するといった態度です。
この話題に言及するときには、子供の権利を守りましょうとか、まずそのように考えるのです。それによって理想的な法律体系をつくろうと。
以上申し上げたようなことが、中国の民法学者の観点となります。
私たちの団体は、こういう状況の中で活動しています。私たちの活動の内容ですが、政策研究です。また、アドボカシーも行っています。
最もやりたいことは、日本、台湾において、自己決定に関して民法学者と交流することです。なぜなら、日本と台湾の民法学者は、中国国内の人々の発言よりも、非常に説得力があります。そういう外からの力でもって突き動かしたい。中国の民法学者は私たちの声を聞こうとすらしないので、外国の他の地域の人たちの声を聞きたいと思います。台湾、日本の民法学者の方々に、私たちは非常に期待しています。協力して、中国の立法に影響を与えていきたいと思っているのです。
また、モデル研究をしたり、ボランティアを募ったりしています。精力的な訴訟もしています。日常生活の中において、法律、権利条約、言葉の壁などさまざまなものがあります。こうしたことに関して、われわれは関与していっています。
人権派の弁護士を支持する活動もしています。そして今、改革しようとしています。
また、ケーススタディの分析をしています。セルフアドボカシーの支持もしています。セルフアドボカシー団体が参与することによって、大きく発展すると信じています。また高齢者団体についても、われわれの活動の範囲内となっています。高齢者は、中国において何か問題解決をする際に、非常に大きな力となってくれます。被後見人といった面においても、将来的にこうした人々と協力していきたいと思っています。
また、親の会の人々にも参与してもらうことを目指しています。どうしてかといいますと、中国の後見人は、当人たちにとって大きな圧迫となっているのです。非常に大きな制限をもたらしています。ですので、こうした親の会と密接に連携を取って進めていきたいと思っています。協力の範囲については、決めていかなければならないと思います。
多くの保護者については、後見制度がより完全なものになるよう望んでいます。家父長制度がまん延している国ですので、そうしたニーズがあるにはあります。
私からの発表はこのようになります。少し時間を超過してしまいました。失礼しました。ありがとうございました。

障害者権利条約第12条の試練と対策

平等正義イニシャティブ
Equity and Justice Initiative
www.ejichina.org
huangxuetao@ejichina.org
黄雪涛 Huang Xuetao
【省略】

生存学研究センター報告

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