第3部 生殖と家族 1 里親の実子が里親養育から受ける影響 ―きょうだい・家族とは何か

PDFダウンロード

本文

生殖と家族

里親の実子が里親養育から受ける影響
-きょうだい・家族とは何か-

山本真知子


Ⅰ 研究の背景と目的

近年、社会的養護の里親委託の割合が相対的に高い一部の欧米オセアニア諸国では里親の実子(以下:実子)への関心が高まっており調査研究が行われている(Hojer 2007;Deunwelaere and Bracke 2007;Sutton and Stack 2012)。日本においても、里親家庭の実子への注目は以前よりも高くなり、2012年に厚生労働省から発出された「里親及びファミリーホーム養育指針」の中に実子への配慮が明記された。また、その養育指針の概説書である『里親・ファミリーホーム養育指針ハンドブック』にも事例を含めて詳細に実子に関する内容が含まれるようになった(全国里親委託等推進委員会 2013)。
日本において実子を対象とした調査はこれまでいくつか行われている(木村・岡村 2001;木村 2003;和泉 2007;山本 2013a)。これらの調査研究の中で、実子に関する研究の今後の課題としてより詳細な実子への調査が行われることを挙げている(和泉 2007;山本 2013a)。また、障害児と病児のきょうだいと実子の比較研究も行われている(山本 2013b)。国外の実子の調査結果では実子の喪失(委託児童との別れ、両親との時間、家庭内の役割など)について取り上げられており、今後の課題としてHojerらは実子の量的調査や実子が成長した後の影響、実子の縦断的な研究の必要性があるとしている(Hojer et al 2013)。
本稿では実子の主観的なきょうだいの境界を明らかにすること、委託初期とインタビュー時での主観的なきょうだいの境界の変化に着目しその詳細を明らかにすることを目的とする。実子の意識の中で特に主観的なきょうだいの境界を明らかにすることは、実子にきょうだいを得たいと思い里親になろうとする人や実子と委託児童をともに育てる里親やその支援者への情報の提供が行えるという点、家庭内の役割や立場に関する実子の喪失や心の変化への理解を深める点において意義のあることと考えられる。

Ⅱ 先行研究

1.主観的な家族ときょうだいの範囲
主観的な家族の範囲とは、家族を血縁やともに生活する集団で区切るのではなく、個人が捉える「家族」を人びとの認識や解釈で区切ることである。主観的な家族の範囲を、山田(1986)は「主観的家族像」、上野(1994)は「ファミリィ・アイデンティティ」(Family Identity:FI)と呼び、また田渕(1996)は「主観的家族論」とした。
家族社会学の立場から主観的な家族を詳細に考えていくと、山田(1986:59)は「ある範囲の人を『家族』と見なす認知は、主観的な現象である。」とし、「夫婦集団」、「親族を成員基準とする集団」、「主観的家族像」を近代家族の家族現象のレベルとした。その後、山田(1994)は、人々の家族の境界には、家族として意識する基準として①血縁、②家族としてするべき活動を一緒にしている、③情緒的に愛着を感じる、の3つを挙げた。上野(1994:5)は「家族を成立させている意識を、ファミリィ・アイデンティティ」と説明し、「何を家族と同定 identifyするかという『境界の定義』」とした。さらに、「実体」と意識の間に乖離が見られること、さらにファミリー・アイデンティティの「境界の定義」に、家族メンバー相互にズレがあることを指摘している。
田渕(1996:28-29)は山田や上野の主観的家族像やファミリー・アイデンティティの議論を中心に家族境界に関する問題3点を挙げ、その上で、主観的家族論が実りある寄与を行うために、次の3つの例を挙げた。「行為者のどのような社会的/ライフヒストリー的属性がその家族認識を規定するか」、「行為者間のどのような相互行為が家族認識を規定するのか」、「行為者の持つ家族認識が行為者の他の行動にいかなる影響を与えるのか」。これらの例は、その人の人生の過程や他の行動への影響との関連性を明らかにしていく重要性を述べている。
一方で、きょうだいに関する研究を重要とする指摘はなされているものの、まだ多く行われていない(依田 1990;白佐2006)。特に主観的なきょうだいの範囲に関してはほとんど明らかになっていない。吉原(2009:61-62)は高齢者のきょうだい関係と主観的幸福感についての関係を明らかにしているが、この中で「きょうだいとの関係は、幼少期から高齢期に至るまで長期にわたってのネットワークを構成する家族関係のひとつ」としている。

2.里親家庭の家族・きょうだいに関する先行研究
国内外の里親に対して行った調査において、「里親になる動機」として実子にきょうだいを得たいという項目や理由が挙げられている(Cole 2005;日本グループホーム学会 2010;Sebba 2012)。これらの結果は、一部の里親が実子と委託児童をきょうだいのように育てたいという意識を持ち里親になることを選択し養育をはじめることを明らかにしている。また、Hojer and Nordenfors(2004)はスウェーデンにおける里親の実子の量的調査の中で、「里子を本当のきょうだいのように感じるか?」という質問を行っている。699人の回答のうち、47%が同意、37%はほぼ同意となっており、8割の実子が委託児童を本当のきょうだいと感じていると回答している。しかし、実子側の意識として山本(2013a)は 11名の実子のインタビュー調査の中で、実子がきょうだいや家族に関する説明をすることに戸惑いを持つことを明らかにしている。また、実子と障害児・病児のきょうだいとの比較研究では、相違点はあるものの家庭内で実子や障害児・病児のきょうだいが親やともに住む子どもへのケア役割を担っていることなどの類似点も見られた(山本 2013b)。障害児・病児のきょうだい研究の課題でも挙げられているように、成長発達の視点からも実子の理解を深めていくことも課題として挙げている(山本 2013b)。実子と委託児童をきょうだいと捉える視点がありながら、これまでの研究では実子の詳細な主観的なきょうだいの境界に対しての内容は明らかになっていない。
里親家庭の家族の境界線についてはいくつかの研究において指摘されている。Thomason and McArthur(2009)は里親家庭の構成員の家族の境界線の曖昧さを知ることは、里親の養育経験を知る上で非常に重要であることを指摘している。国外の実子の研究では家族の枠組みを取り扱った研究があるが、その中で実子は4つの家族の枠組み1を持つことを明らかにしている(Heidbuurt 2004)。Heidbuurtは、里親家庭での生活にストレスを感じているか、ネガティブな感情を抱いているか、などの実子の意識によって家族の枠組みが異なることを明らかにしている。しかし、国外の実子の研究の中できょうだいの枠組みを取りあげたものはなく、Heidbuurtは家族の枠組みだけではなくさらに詳細な調査が行われることを課題として挙げている。

Ⅲ 研究方法

1.調査協力者
調査協力者は、調査を行った時点において18歳以上で、里親家庭で委託児童と約1年以上生活をしたことのある里親の実子とした。筆者の知人である実子や里親からの紹介を通じて面接の協力を依頼した。
本研究の調査協力者は16人で、性別は男性5名、女性11名である。委託児童と生活を開始した際の年齢は、就学前2名、小学校低学年4名、小学校高学年4名、中学3名、20代3名であった。調査時点において、里親家庭での生活年数は約1年〜25年であり、協力者の両親が里親養育を開始してからインタビュー時において7年以上経過していた。1名以外は調査時において両親が里親委託を継続していた2。

2.調査手順と分析方法
調査期間は2010年6月〜2011年3月と2013年1月〜6月の期間である。調査協力者に対し半構造化面接を行い、インタビューでは里親家庭での生活について時系列に沿って質問した。主観的なきょうだいの境界に関する質問として、「友達などにきょうだいは何人ですか?と言われた場合、どのように答えていますか?」もしくは「答えていましたか?」という質問をした。また、友人などへの返答の仕方と実子自身がきょうだいについてどのような境界線を持っているのかも併せて質問した。
インタビューをICレコーダーに録音し、録音した音声データを逐語録にし、音声データを聞きながら繰り返し読み込んでいった。逐語録をKJ法によってカテゴリー化し、実子が持つ主観的なきょうだいの境界を明らかにした(川喜田 1967)。実子の持つ主観的なきょうだいの境界をカテゴリーごとに分け、委託初期とインタビュー時の2段階の変化を分析した。

3.倫理的配慮
この調査は「日本女子大学ヒトを対象とした実験研究に関する倫理審査委員会」の審査・承諾を受け実施した。面接に関して、筆者から協力者に面接を依頼し、承諾した方のみ行った。面接にあたって、語りたくないことには答えなくてよいこと、途中で面接を拒否できること、プライバシーを厳守したうえで面接の記録を論文に使用することを十分に説明した。説明した後に、協力者に書面での内容確認のサインをいただいている。面接を行う場所は、面接内容の会話が外部に漏れないようプライバシーが保証される個室を選び、協力者に了解を取った上で行った。ただし、協力者が面接場所を指定した際は個室ではなく喫茶店などで行った。
本稿では一部の語り(年齢、性別、方言)に修正を加え、文中の委託児童の名前は○で明記する。本研究において、里親の実子を実子、委託児童をⅣ結果の一部では里子、実子の血縁関係にあるきょうだいを兄弟姉妹とする。

図1:実子が持つ主観的きょうだいの境界の変化【省略】

Ⅳ 結果

1.主観的なきょうだいの範囲の結果
本研究の結果、実子には4種類のきょうだいの境界があることが明らかになった。4種類は以下の表の通りである。
委託初期は『血縁による境界線』(兄弟姉妹のみをきょうだいとする)、『境界線なし』(兄弟姉妹と里子全てをきょうだいに含める)の2種類であり、インタビュー時は『血縁による境界線』に加え、『選択的な境界線』(兄弟姉妹と一部の里子をきょうだいに含める)、『生活の場による境界線』(家庭復帰した子どものみきょうだいに含めない)の合計3種類のカテゴリーに分けられた。そして、委託初期からインタビュー時の変化の5通りを以下GroupA〜E(以下、GA〜GEと明記)に分け論じる。口語文は□の中に、口語文を略す場合<中略>、言葉を補う場合や本研究者の質問文は()の中に含めている。(参照:図1)

表1 実子が持つきょうだいの境界の種別【省略】

① GA:『血縁による境界線』変化なし
GAは委託初期においてもインタビュー時においても里子と兄弟姉妹を分けて捉えていた。捉え方は同じでもその理由に関してはいくつかの捉え方があった。このGAの特徴として全て女性であり、委託開始時の年齢は実子が9歳以上だった。

②GB:『境界線なし』から『血縁による境界線』
GBは委託当初は里子もきょうだいとして捉えていたが、インタビュー時には分けて考えていた。GBの特徴として、実子に複数の兄弟姉妹がいて、里子の委託人数も複数であり、実子が就学前もしくは比較的早い小学生の時期に委託が開始されていたことが挙げられる。兄弟姉妹が複数いる実子は里子が委託されることをきょうだいが増えるという感覚で捉えていたが、複数の里子の委託で年齢が離れる場合や家庭復帰する場合、里子との関係で上手くいかなかった場合や出産の経験があることで成人になるにつれ、きょうだいは兄弟姉妹のみと捉えていた。

③GC:『血縁による境界線』から『選択的な境界線』
GCは委託当初は兄弟姉妹だけをきょうだいと捉えていたが、インタビュー時は一部の里子を含めきょうだいとして捉えていた。GCの特徴として、比較的実子が大きくなってからの里親家庭での生活の開始があること、またインタビュー時の実子の年齢が平均年齢よりも高いことが挙げられる。変化の理由として里子と過ごした時間の経過や里子との経験がきょうだいと思うきっかけになっていた。一部の里子だけをきょうだいとする理由は、実子が成人になってから委託されるケースの場合も含まれていることが理由として挙げられる。里親を親が始めた当初一緒に実子が住んでいない場合、例え両親のもとに委託された経験があっても、全ての里子がきょうだいの範囲には入らないことがわかる。

④GD:『境界線なし』から『選択的な境界線』
GDは委託当初は全ての里子もきょうだいに含めていたが、インタビュー時は一部の里子だけをきょうだいとして捉えるようになった。きょうだいに含める里子は、例えば里子が実子にとって支えとなる存在であったり、長期間里親に養育されていたりする理由だった。また、きょうだいとして捉えないとする里子は、実子と年齢が離れていたり一緒に暮らした経験が短かったり実親との交流があるという場合だった。

⑤GE:『境界線なし』から『生活の場による境界線』
GEはこれまで親の元に委託された全ての里子をきょうだいとして捉えているが、家庭復帰した子どもだけ含んでいなかった。里子が委託されることは、兄弟姉妹が増えるようにとらえており、これはGB初期の段階と似ている状況である。しかし、GEは現在も実子の親(里親)と一緒に生活していないからきょうだいとは捉えられないとする理由だった。それは、家庭復帰した子どもへのある意味での配慮であるということを語っていた。

2.実子の主観的なきょうだいの範囲に対しての葛藤
これまで6種類のきょうだい観とその変化を取りあげてきたが、それぞれの背景には生活での出来事や状況などが関係している。その中で、実子がきょうだい境界に関係する葛藤を持つことがあった。
例えば、ある実子は、
なんかたまになんか、友達のおうちとかにいくと、「あなたのおうちの、あの男の子は、跡取りのためにもらってきた子でしょ?」って言われて、

と語り、それがとても苦痛であることを明かしている。また、別の実子は、
嫌なのは、あの、「これがお姉さんです」みたいに紹介されるのは抵抗があったんですよね。

と述べた。また、きょうだいに関する質問をした際に、
今はなんかやっぱりなんか、しゃべるの難しいですよねやっぱ、きょうだいの説明をするってなると。ただ、分けるっていうのは正直嫌なとこですね。

と述べた実子もいた。Heidbuurtは、実子は家族の質問を受けた際に『正しい回答』を応えることを強いられていると述べているが、日本においても社会が持つ里親に対しての印象やその質問者が得たいとする回答を実子が答える状況があると考えられる。
また、実子はきょうだいと主観的家族観には変化を付けている場合が多く見られた。きょうだいには里子は含まないが、家族には里子を含む場合が大半を占めていた。
(家族何人ですかって言われたときにどういうふうに答えてた?)
うーん、まあ、でもそのときの(一緒に住んでいる)人数で言ってると思いますね、やっぱり。まあ、ずっとここ数年は9人なんで9人って言ってますね、やっぱり。
<中略>
(きょうだい何人って言われたら何て答える?)
きょうだい、本当のきょうだいが2人で、里子が4人とか言ってますかね。

家族の境界ときょうだいの境界は必ずしも一致はせず、きょうだいの方がより親密的なカテゴリーになることが理解できる。しかし、その親密性は人により、血縁であったり、信頼度であったりと異なっていた。
家族にも何段階か境界がある場合があり、そのことについて、ある実子は次のように語っている。
家族っていうのは僕的には、よく、血はつながってなくても家族って言うじゃないですか、家族だよとか、言ったりするけど、やっぱり血がつながっていると、何でか本当に素を出せるわけじゃないですか、血のつながっている家族とかは。でも、やっぱり新しく来た子だと、時間はかかるけど素を出せるようになったら、この人は自分を分かってくれる人だなって、受け入れるんだなって、それで僕的には家族になるんじゃないですかね。ただ、同じ家の下にいるんじゃなくてみたいな。
「同じ家に住むこと=家族」ではなく、「素を出せるようになる=家族」という理由がそこにはあると語っている。

Ⅴ 考察

本研究の結果、実子が持つ主観的なきょうだいの境界は4つの種類があり、一人ひとり異なった変化があることがわかった。またその変化にはいくつかの特徴があった。
一つ目として、実子が持つ主観的きょうだいの境界は、委託児童の増加や里親家庭での出来事などで変わりやすいということが挙げられる。里親家庭の場合、委託児童が複数人(複数回)委託されるということは珍しくない。また、その委託児童の里親家庭で生活する期間も18歳(もしくは20歳)という里親としての終結はあるにしても、一人ひとり全く異なっている。そこに実子の成長を重ねると、その組み合わせは数えきれない。したがって、今回のきょうだいの境界線以外にも変化の過程はさまざまであることがわかる。
二つ目は、法的にも血縁的にもつながりのない委託児童と実子の関係は「一般的なきょうだい関係」とは大きく異なっていることである。例えば、多様な家族の中の養子縁組の場合も血縁関係にはないが、法的なつながりを作る。また、ステップファミリーはどちらか片方の親が子どもとは血縁関係にあることがほとんどである。家庭内のケア役割を担うことの多い障害児や病児のきょうだいは法的にも血縁的にもつながりのあるきょうだいである。そのため、血縁と法から見ても里親家庭の子ども同士の関係は非常に特殊であると考えられる。
三つ目は、実子がきょうだいの境界線を持つことによって、きょうだいの線引きをしなくてはいけない葛藤や委託児童に対しての親しみや遠慮の気持ちを持つなど多様な心的な変化があることである。二つ目で挙げた里親家庭の特殊性を踏まえると、きょうだいの境界線を持つことに対して大きな感情は動かされないのかもしれない。しかし、本研究では委託児童をきょうだいに含めないことに罪悪感を持ったり、逆にきょうだいに含めることに対し遠慮をしたりする語りがあった。さらに、家族を意識させるライフサイクルのイベント(例えばお葬式や結婚式など)は新たに実子の家族やきょうだい意識を意識化することであり、家族で行うことを前提としているイベントの前後において実子の心的な変化がありそれは何らかの困難を感じさせることもあり得るということが言えるだろう。
さらに、四つ目として、一部の種類において、ジェンダー、委託当初の年齢、実のきょうだいの人数による差がみられたことを挙げる。年齢では、里親養育を開始した際に実子の年齢が高ければ委託児童をきょうだいとして含めなくなることが示された。また協力者の男女比が同じではないが、女性の方が委託児童をきょうだいに含めないことが多く見られた。さらに、実のきょうだいが多い場合、委託児童をきょうだいに含みやすいということが示された。しかし、実子と委託児童の年齢が離れている場合や委託児童の措置の人数や回数が増えることにより、実子の主観的なきょうだいの境界が実のきょうだいのみになることが示された。
本研究の限界としては以下の3つが挙げられる。①回顧法のインタビューにおける研究のため、変化が詳細に記述できないということ、②兄弟姉妹のいない実子の対象者数が少なく検討できなかったこと、③実子の意識に限定しており里親や委託児童側からの考察ができなかったこと、である。
きょうだいの境界線だけを取りあげてみても実子の意識は多様であり、その心的な変化が実子の葛藤や課題へ繋がる可能性もあると考えられる。国外の研究において明らかにされている実子の喪失にはこのきょうだい意識も含まれると考えられる。実子は里親養育の中で委託児童ときょうだいのように生活をしていることが多く、地域や学校で受けるさりげない家族やきょうだいの会話や質問などを受ける際、周囲の状況や家庭環境を考えながら回答する生活を送っていることがある。里親よりも実子は委託児童の生活の中で近くにいることが多く、委託児童の助けになることも多くあると考えられる。そのような実子の立場の理解は今後里親家庭を支援していくにあたり欠かせない視点になるだろう。また里親やファミリーホームに限らず多様な家族や家庭環境が増える中で、子どもの家庭内の人間関係が子どもに与える影響や意識の変化などをさらに深めていきたいと考える。

謝辞

本調査に協力してくださった実子の皆様に心から感謝申し上げます。

注釈
1 ① 委託児童すべてが家族であるとする境界線、②実子だけが隔離されていて家族と外部との間にいる、③実の家族だけが中心の核にいて、委託児童は二重の外側の円の内側にいる、④長期的な委託児童だけが家族にはいり、他の委託児童は二重の外側の円の内側にいる、の4点である。
2 本研究において血縁関係にある兄弟姉妹がいない実子2名にも調査を行ったが、十分な数が得られなかったことと個人が特定する可能性が高いため、その血縁関係にある兄弟姉妹のいない2名は取り扱わないこととした。
文献
Cole, S. A.(2005). Infants in foster care: Relational and environmental factors affecting attachment. Journal of Reproductive and Infant Psychology, 25, 43-61.
Denuwelaere, M. and Bracke, P.(2007). Support and Conflict in the Foster Family and Children’s Well-Being: A Comparison Between Foster and Birth Children. Family Relations, 56(1), pp. 67–79.
Heidbuurt, J.(2004)“ALL IN THE FAMILY HOME: The Biological Children of Parents Who Foster”, Foster Family-based Treatment Association’s 18th Annual Conference on Treatment Foster Care.
Hojer, I.(2007)Sons and daughters of foster carers and the impact of fostering on their everyday life. Child & Family Social Work, 12(1), 73-83.
Hojer, I. and Nordenfors, M.,(2004)Living with foster siblings – what impact has fostering on the biological children of foster carers? In: Eriksson, H. G. and Tjelflaat, T.(eds.)Residential care, horizons for the new century. Aldershot: Ashgate. pp.99-118.
Hojer, I., Sebba, J. and Luke, N.(2013)The impact of fostering on foster carers’ own children. An international literature review. Oxford: Rees Centre.
和泉広恵(2007)「里親家族の子ども〜実子の視点から〜」『里親と子どものための里親養育リソースセンター設立準備プロジェクト調査研究報告書 これからの家族支援』 NPO法人里親子支援のアン基金プロジェクト, 85-103.
川喜田二郎(1967)『発想法―創造性開発のために』
厚生労働省(2012)「里親及びファミリーホーム養育指針」http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/yougo_genjou_09.pdf(Accessed 2015.12.20)
木村たき子,岡村一成(2001)「里親制度と地域社会−実子のインタビュー調査から−」『日本応用心理学会大会論文集』68, 66.
木村たき子(2003)『里親制度と地域社会』明石書店.
日本グループホーム学会(2010)「障害のある子どもが里親家庭で育つために」報告書.
Sebba, J.(2012)Why do people become foster carers?, Oxford: Rees centre.
白佐俊憲(2006)「きょうだい研究の動向と課題」,日本児童研究所(編)『児童心理学の進歩 2006 年版』金子書房,57-84.
Sutton, L. and Stack, N.(2012)Hearing Quiet Voices: Biological Children’s Experiences of Fostering, British Journal of Social Work,43(3): 596-612.
田渕六郎(1996)「主観的家族論‐その意義と問題」『ソシオロゴス』20,ソシオロゴス編集委員会,19-38.
Thomson, H., McArthur, M.(2009)Who's in Our Family?: An Application of the Theory of Family Boundary Ambiguity to the Experiences of Former Foster Carers, Adoption & Fostering, 33(1), 68-79.
上野千鶴子(1994)「ファミリー・アイデンティティのゆくえ」『近代家族の成立と終焉』岩波書店, 319-352.
山田昌弘(1986)「家族定義論の検討‐家族分析のレベル設定」『ソシオロゴス』10,52-62.
山田昌弘(1994)「脱青年期の家族意識一一家族と非家族との間」『「脱青年期」の出現と親子関係:経済・行動・情緒・規範のゆくえ』家計経済研究所.
山本真知子(2013a)「里親家庭における里親の実子の意識」『社会福祉学』53(4), 69-81.
山本真知子(2013b)「里親家庭における実子への影響と求められる役割-障害児・病児のきょうだい研究との比較研究」『子ども家庭福祉学』13.
依田明(1990)『きょうだいの研究』大日本図書.
吉原千賀(2009)「高齢者の主観的幸福感と2つの家族 : 自分のきょうだいと配偶者・子どもとの関係」『奈良女子大学社会学論集』 16, 61-75.
全国里親委託等推進委員会(2013)『里親・ファミリーホーム養育指針ハンドブック』

本研究の一部は独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業(科学研究費補助金)の特別研究員奨励費の助成を受けて実施したものです。

生存学研究センター報告

サイトポリシー | 個人情報保護方針 | サイトマップ | お問い合わせ
アクセシビリティ方針