あとがき

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本文

川端美季
(立命館大学衣笠総合研究機構生存学研究センターPD)



 本報告は、「まえがき」で吉田幸恵が述べているように、立命館大学「グローバルCOEプログラム『生存学』創成拠点」を受け設立された生存学研究センターと韓国障害学研究会がこれまでおこなってきた国際交流企画の3度目の企画の報告である。2010年度の第1回は韓国、2011年度の第2回は日本と往復し、グローバルCOEプログラム終了後の初の開催である2012年度の第3回は、韓国でおこなわれた。
 本報告は、韓国語と日本語の両方で編集している。その意図は、これまで研究交流をおこなってきた韓国障害学研究会の方々、そして韓国で障害に関わる研究をしている方々に交流の成果を発信するため、日本語版については吉田・川端、韓国語版については李が担当した。本報告書は、こうした国際研究交流という点において非常に意義のあるものとなっている。

 まえがきでは、本セミナーの経緯とその中身について書かれているので、あとがきでは本セミナーの様子に触れておきたい。
 本セミナーは、日本からは立命館大学生存学研究センター、同学先端総合学術研究科にかかわる院生、修了生、PDなど23名が参加し、韓国からは障害者団体のメンバーなどを中心にした韓国障害学研究会から多くの方が参加された。
 第一部に収録されているセッション「障害者権利条約履行のための国内法研究」については、長瀬修(立命館大学衣笠総合研究機構生存学研究センター特別招聘教授)、イ・ソック氏(韓国障害者財団事務総長)による報告がおこなわれ、立岩真也(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)、ユン・サモ氏(韓国障害者人権フォーラム政策委員)から質問、コメントがなされた。ここでの議論の主題を午後のディスカッションは引き継いでおり、両方を読むことでより深く理解できるものとなっている。
 第二部に収録されているセッションでは、日本と韓国の若手研究者を中心に、障害学、運動史、社会福祉学などに関わるテーマが報告された。ディスカッションでは、障害者権利条約、障害者団体の活動とそのコンフリクト、障害(および病)の認定の問題が主な焦点であった。多くの人が質問し発言し、時間が足りなくなるほどのきわめて活発な議論が交わされた。
 第三部は、本セミナーで、韓国と日本の参加者が交流し昼食をとりながら、おこなわれたポスターセッションがもとになっている。本報告には、このポスター報告者のなかからいくつかのものが掲載されており、それぞれの報告が今回の障害学国際セミナーから刺激を受け、改稿されたものである。

 私は2011年度に初めて障害学国際セミナーに参加し、2012年度、生存学研究センターのPDになったこともあり、本セミナーの準備を進めることになった。
 今回の企画の詳細は、障害学研究会のイ・ソックさんとメールのやりとりしながら進めてきた。メールはほとんど韓国語でかわされたので、こうした準備段階から、編者である李旭さんはもちろん、立命館大学先端総合学術研究科の韓国の留学生の方々、安孝淑さん、イム・ドクヨンさん、クァク・ジョンナンさんには大変ご尽力いただいた。また、この国際交流企画の第1回からコーディネーターとしてかかわっていた鄭喜慶さん(立命館大学大学院先端総合学術研究科修了生・生存学研究センター客員研究員・京畿大学非常勤講師・韓国ALS協会理事)には企画運営についてご教示いただき、さまざまなことにわたってフォローいただいた。韓国においても通訳として活躍いただき、また本報告書の翻訳および校正にかかわっていただいた留学生のみなさんにはつねに配慮や気遣いをしていただき、感謝してもしきれないほどである。
 また、吉田幸恵さんは、共同編者としてご迷惑おかけすることが多かったが、そのすべてに対応してくれた。立命館大学非常勤講師の藤原信行さんには編集協力というかたちでご尽力いただいた。深謝したい。
 加えて、本セミナーを準備段階からともに進めたイ・ソックさん、第一部の報告者でもある長瀬修先生は本セミナーの基調をかたちづくっていただいた。改めて御礼をお伝えしたい。
 そして、韓国では、韓国障害者財団のキム・ユミさん、会場のスタッフの方々に大変お世話になった。こうした方々をはじめ、この企画を支えてくれたすべてのスタッフのみなさんに、心からの感謝と御礼申し上げたい。
 また、このセミナー中に、韓国障害学研究会と生存学研究センターとの研究交流の調印に関する合意形成がなされた。韓国障害学研究会会長のソ・インファンさんに改めて御礼申し上げたい。今後もこのような活発な研究交流を続けていきたい。

 障害学国際セミナー当日のソウルは快晴であった。11月とちょうど冬が近づきつつある時期だったが、その寒さは日本の厳寒に匹敵するものであった。会場のイルムセンターがあるヨイド地区は、国会議事堂やセヌリ党舎などが位置する場所であり、大統領選挙前ということもあり、各党の支持者がビラを配布したり、また党に対する抗議などを訴えたりするひともいた。イルムセンターの前では、自立生活のための支援時間の増加を求めるピケが張られていた。寒いソウルのこのような活動がおこなわれつつある場で、活動家たちと研究者の交わした活発な議論と交流があったことが、本報告書をつうじて伝われば幸いである。
 本報告書を刊行するにあたり、生活書院の髙橋淳さんには大変お世話になった。厚くお礼申し上げます。

生存学研究センター報告

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