まえがき

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 立岩 真也(グローバルCOE プログラム「生存学」創成拠点 拠点リーダー・立命館大学大学院先端総合学術研究科 教授)

 生存学創生拠点の成果として発行されるこの冊子は、二つの部分からなっている。
 一つは、COE事業推進担当者の一人でもある栗原彬さんの講義であり、そこに天田・立岩や大学院生の発言・質問と、栗原先生の応答が加わっている。この講義は2007 年9月6日に行われた。
 もう一つは、アフリカ日本協議会の稲葉雅紀さんへの公開インタビュー。聞き手は立岩が務めた。ここにも院生が多数参加し、質問などした。これは同年7月29 日に行われた。
 それぞれについてはそれぞれをお読みいただきたい。なぜこの二つで一つなのか。
 どのようにしてこの社会に対してきたのか、そしてこれから対していくのか。そのことを知りたいと思っているし、考えたいと思う。この時、二人が語る史実・事実の広がりと深さとともに、これからどうしてやっていこうかについて、得られるもの、得られるものの幅があるように思えて、二つを合わせて編むことにした。
 準備だけで疲れてしまい、あるいは報告書を作ることで疲れ果ててしまい、たしかに行なわれたはしたものの、それだけであるといった企画・催しがよくある。あって悪いことはないかもしれない。だが、私たちはそんなことに労力を費やすつもりはない。栗原さん、稲場さんの語ったことから、私たちがすることが、いくらも、具体的にあると考えているし、その継承の作業に既に取り掛かっている。拠点のHP http://www.arsvi.com をご覧になっていただきたい。例えばそれは既に、アフリカ日本協議会の協力を得て、アフリカの現在について、この国でもっとも詳しく新しい情報を提供している。また、日本のここ何十年かについて、その時空における身体に関わる様々の出来事について、言葉について、収集し解析する作業を行い、集めたものを私たちのサイトに収蔵し掲載している。そしてその成果を、何年かかけて、しかし何年かのうちには、続々と、出していくつもりだ。ここに収録された二つは、こうした作業を先導する二つである。私たちが追うべきものの幅を示し、覚えておくべきことを既に示し、何を知るべきかを教えてくれている。
 これ以上なにも言うことはないが、稲場さんへのインタビューについて、別の版が既にあり、またこれから出ることになっているので、そのことについてだけお知らせする。
 このインタビューは、かなりの部分を削った上で青土社の月刊誌『現代思想』の2007 年9月号(特集:社会の貧困/貧困の社会)に「アフリカの貧困と向き合う」という題で掲載された。そして今回、「完全版」がこの冊子に収録されたのだが、さらにそれに幾つかの文章を加え、註を増やし、そして、もう一つのインタビューを加えて、今年中に公刊する予定である。そのもう一つは小児科医の山田真さんへのインタビューであり、同じくこのCOEの企画として、同じく公開で、同じく立命館大学の創思館で、2007 年12 月23日に行なわれた。やはり多くを削って、『現代思想』の2008 年2月号(特集:医療崩壊――生命をめぐるエコノミー)に「告発の流儀――医療と患者の間」という題で掲載された。そのもとの記録を手直ししたものに、数多くの、相当に大量な註を付したものが本には掲載されることになる。刊行されたなら、是非手にとって読んでいただきたい。

生存学研究センター報告

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