生存学と文学

文学作品に描かれた「ままならぬ身体」を再考する。具体的には、ゴンブローヴィッチ、シュルツ、カフカ、多和田葉子、安部公房、目取真俊、寺山修司といった作家の作品から、イデオロギー・ジェンダー規範・刑罰執行に代表される身体を束縛する社会的拘束力と、それに対抗し逸脱する身体の様相を検討することを主な目的とする。本プロジェクトは昨年度からの継続である。昨年度は沖縄文学研究の村上陽子氏、トラウマ研究の岩川ありさ氏を招聘し、沖縄戦をめぐる記憶と体験の現代への継承や、文学におけるトラウマおよびケアの現在性という課題のもと議論を行った。今年度はこれまでの活動と成果を踏まえ、文学と生存学との緊密な接続と議論の深化を図りたい。

生存学研究センターでは、これまで主に医療や労働の問題が取り上げられてきたが、言語による表象の問題を扱う文学を新たに接続することで、生存学という領域をより拡張する効果がもたらされる。また、本研究会は文学研究を専門としないメンバーも参加しており、生存学を共通テーマに、文学と他の研究領域の境界を越えて、相互の研究発展・活性化が期待される。

プロジェクト名 生存学と文学
プロジェクト代表者 西 成彦
年度 2013