現代社会エスノグラフィ研究会

生存学研究センター及び、グローバルCOE「生存学」創成拠点では、これまで、いわゆる「障、老、病、異」に深くかかわる、医療現場、当事者集団、社会運動体、国境を越えたNGO活動などを対象とする事例研究が行われてきた。これらの研究では、文献研究、史資料分析、社会学的分析の方法論が用いられ、いわゆる過去から現在へという時間軸に焦点が当てられ、多くの研究が蓄積されてきた。しかし、調査方法論に関する追究や検討は必ずしも十分ではなく、先行研究の踏襲に終始するか、いわば言説研究のレベルに留まっているものも多い。本研究においては、これまでの成果をさらに深化させるため、歴史性を帯びながらも現在進行形の時間軸で生きる人々の「生」技法を捉えることを可能とする民族誌学的方法論の検討に着手したい。民族誌学的方法は、主に文化人類学、社会学の質的研究など、ある特定の集団や、社会関係がいかにして生成し、変容するかという全貌を記述し、多くの社会形成パターン、集団・社会関係内の文化の変容を説明することに多大な貢献を果たしてきた。

本研究会は、これまでにセンター及びグローバルCOEにおいて蓄積されてきた社会調査や文献史資料研究では十分に取り組まれてこなかった、医療現場、当事者集団、社会運動体、支援者グループなどの民族誌学的方法・記述法の確立を目指しており、本研究の完成により、センターにおける調査方法論や調査教育の充実化につながることが期待される。また、本研究では学内関係者はもちろんのこと、多くの外部研究者との連携を予定しており、多くの外部研究者と連携することにより、調査方法論のさらなる深化につながるだけではなく、学外(国内外)に成果を発信し、センターのプレゼンスを高めることにもつながると考えている。

プロジェクト名 現代社会エスノグラフィ研究会
プロジェクト代表者 渡辺公三
年度 2013