日本生命倫理学会共催企画 安斎育郎先生特別講演(10月28日)の報告

掲載日: 2013年01月01日English

enlearge image (to back to press x)*去る2012年10月27日〜28日に立命館大学衣笠キャンパスを会場として日本生命倫理学会第24回年次大会が開催されました。

生命倫理学は、安楽死や人工妊娠中絶をはじめとして「生」に関わる諸問題を倫理的に考える分野であり、本センターの問題関心とも大きく重なっています。今大会は、文字通り「生存と生命倫理」をメインテーマとして、本センター運営委員の立岩真也教授を大会長、大谷いづみ教授を大会実行委員長、松原洋子教授を大会事務局長として開催されました。大会は前回の早稲田大会とほぼ同数の525名の参加者を得て、盛況のうちに終えることができました。

そのなかでも、とくに本センターは、10月28日に大会内企画として開催された安斎育郎先生の特別講演を学会と共催で企画しました。

安斎先生は、立命館大学国際関係学部で長年教鞭をとってこられ、また、立命館大学国際平和ミュージアムの館長としてもご活躍してこられました。とくに、福島原発事故以降、日本の原子力事業のあり方に対する批判者として、また放射線防護学の専門家として発言されている姿を見聞した人も多いのではないでしょうか。

今回、本センターと大会実行委員会が安斎先生にご講演をお願いしたのも、日本の原子力事業・研究の草創期に、内部から政策と研究のあり方を批判し続けてきた当事者のお一人として、あらためて今回の福島原発事故について「研究者の倫理」という観点からお話し頂きたい、と考えたからでした。当日は、朝から小雨が降っていましたが講演前には雨も止み、一般の聴講者も含めて約220名の参加がありました。

enlearge image (to back to press x)*「福島原発事故と生命【いのち】――研究者の倫理を考える」というタイトルの講演は、私たちの期待通り、原子力発電関連事業に対して研究者として一貫して批判的なスタンスを取ってきた安斎先生の半生を通して、研究者としてあるべき倫理的な態度が鋭く照らし出される内容でした。安斎先生は、原子力発電関連事業の立ち上げの時期から研究の中核にいて、事業推進にとって不都合な事実の隠ぺいなどに対して批判を続けてきた結果、電力会社その他から尾行・監視・恫喝などの様々なハラスメントを受けたことを淡々とユーモアさえ交えつつ語られましたが、誰もが、もし自分がその立場にいたら、同じようなスタンスをとり続けることができたかどうかを自問させられたと思います。

講演では、科学は価値中立的だがそれを使い研究する科学者が価値中立的であるとは限らないという指摘から始まり、科学が価値中立的に解明できる範囲の限定性を自覚した上で、真偽が検証されていない部分について過小評価をしないという原則の重要性が強調されました。

原子力のリスクを過小評価し続ける日本の原子力事業の構造は今回の事故を通して多くの人々にとって明らかになりましたが、残念ながら、依然として原発再稼働や廃棄物処理をめぐって同じ構造が存在しています。講演を聴講して、あらためて、「生存と科学技術」という課題の重要性と、この課題に取り組む者としての態度が厳しく問われ続けているということを痛感させられました。

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