感染症支援の現場から

掲載日: 2011年04月20日English

顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)は、近年、驚異的な猛威を振るい、その危険性について世界的な対策の重要性が認識されはじめてきた感染症である。なかでも、自身の研究課題としているブルーリ潰瘍(Buruli ulcer)も注目されることがなかった「顧みられない熱帯病」として、一部の専門家によって十数年前から問題提起がなされてきた。

自身も所属する日本でも数少ないブルーリ潰瘍問題への支援団体である神戸国際大学ブルーリ潰瘍問題支援プロジェクト(Project SCOBU)は、現在、教育分野を中心に支援を展開している。教育支援に注目している背景には、他の多くの団体が医療分野の支援を実施しているものの、医療分野以外の支援を行う団体は少なく、治療後の教育や家族への支援に視点を向けた支援は十分に行われていないからである。

Project SCOBUは、WHOブルーリ潰瘍対策専門家会議(WHO Annual Meeting on Buruli ulcer)を通じて報告を行っている。1999年に神戸国際大学に設立されたProject SCOBUは、日本国内では、募金や啓発活動、地域のイベント、チャリティーコンサート、高等学校での講演会、シンポジウムなどを通して地域と密着した活動を通して、地域の人々との交流を図りながら、理解・協力を得られるように取り組んでいる。

国際的な活動では、ベナン共和国、トーゴ共和国で「神戸国際大学ブルーリ潰瘍子ども教育基金」を実施している。トーゴ共和国では、病院内教育(in-hospital education)の支援を展開し、入院中にどうしても遠ざかってしまう教育機会を確保することで、治癒後(退院後)、子どもたちの就学復帰をスムーズにすることを目的としている。

また、今後新たな取り組みの可能性として、同大学に2009年に新設されたリハビリテーション学部による理学療法プロジェクトが挙げられる。技術提供や理学療法機器の支援などを含めた検討がなされている。

このような研究を基礎として、現在ではブルーリ潰瘍だけでなく、他の感染症としてHIV/AIDSへの取り組みを通じて、顧みられない熱帯病問題への支援の手がかりを模索している。その成果のひとつとして、2011年度には『アフリカのHIV陽性者運動がもたらした変革(軌跡):生存(学)の視座』(仮)を刊行予定である。同書では、HIV陽性者の運動がエイズを取り巻く状況(対策・支援など)にどのような影響・変化を与えたのか、患者が死・生存の恐怖、差別・偏見、病気による苦しみなどから、どのようにして活動を展開してきたのか、HIV陽性者の大多数を占める途上国の動きを中心に、今まで専門的な書籍でもあまり伝えきれていない視点での刊行を目指している。

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